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永日小品(えいじつしょうひん)--蛇

时间: 2020-11-30    进入日语论坛
核心提示: 木戸を開けて表へ出ると、大きな馬の足迹(あしあと)の中に雨がいっぱい湛(たま)っていた。土を踏むと泥の音が蹠裏(あしのうら)
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 木戸を開けて表へ出ると、大きな馬の足迹(あしあと)の中に雨がいっぱい(たま)っていた。土を踏むと泥の音が蹠裏(あしのうら)へ飛びついて来る。(かかと)を上げるのが痛いくらいに思われた。手桶(ておけ)を右の手に()げているので、足の()(さし)に都合が悪い。(きわ)どく()(こた)える時には、腰から上で調子を取るために、手に持ったものを(ほう)()したくなる。やがて手桶の尻をどっさと泥の底に()えてしまった。(あやう)く倒れるところを手桶の()()(かか)って向うを見ると、叔父さんは一間ばかり前にいた。(みの)を着た肩の(うしろ)から、三角に張った網の底がぶら下がっている。この時(かぶ)った(かさ)が少し動いた。笠のなかからひどい(みち)だと云ったように聞えた。蓑の影はやがて雨に吹かれた。
 石橋の上に立って下を見ると、黒い水が草の間から()されて来る。不断(ふだん)黒節(くろぶし)の上を三寸とは()えない底に、長い()が、うつらうつらと(うご)いて、見ても奇麗(きれい)な流れであるのに、今日は底から濁った。下から泥を吹き上げる、上から雨が(たた)く、真中を(うず)が重なり合って通る。しばらくこの渦を見守っていた叔父さんは、口の内で、
()れる」と云った。
 二人は橋を渡って、すぐ左へ切れた。渦は青い田の中をうねうねと延びて行く。どこまで押して行くか分らない流れの(あと)()けて一町ほど来た。そうして広い田の中にたった二人(さび)しく立った。雨ばかり見える。叔父さんは笠の中から空を仰いだ。空は茶壺(ちゃつぼ)(ふた)のように暗く封じられている。そのどこからか、隙間(すきま)なく雨が落ちる。立っていると、ざあっと云う音がする。これは身に着けた笠と蓑にあたる音である。それから四方の田にあたる音である。向うに見える貴王(きおう)(もり)にあたる音も遠くから交って来るらしい。
 森の上には、黒い雲が杉の(こずえ)に呼び寄せられて奥深く重なり合っている。それが自然(じねん)の重みでだらりと上の方から(さが)って来る。雲の足は今杉の頭に(から)みついた。もう少しすると、森の中へ落ちそうだ。
 気がついて足元を見ると、(うず)(かぎり)なく水上(みなかみ)から流れて来る。貴王様の裏の池の水が、あの雲に襲われたものだろう。渦の形が急に(いきお)いづいたように見える。叔父さんはまた()く渦を見守って、
()れる」とさも何物をか取ったように云った。やがて(みの)を着たまま水の中に下りた。勢いの(すさま)じい割には、さほど深くもない。立って腰まで(つか)るくらいである。叔父さんは河の真中に腰を()えて、貴王の森を正面に、川上に向って、肩に(かつ)いだ網をおろした。
 二人は雨の音の中にじっとして、まともに押して来る渦の恰好(かっこう)を眺めていた。魚がこの渦の下を、貴王の池から流されて通るに違いない。うまくかかれば大きなのが獲れると、一心に(すご)い水の色を見つめていた。水は(もと)より濁っている。上皮(うわかわ)の動く具合だけで、どんなものが、水の底を流れるか全く分りかねる。それでも(まばたき)もせずに、水際(みずぎわ)まで浸った叔父さんの手首の動くのを待っていた。けれどもそれがなかなかに動かない。
 雨脚(あまあし)はしだいに黒くなる。河の色はだんだん重くなる。渦の(もん)(はげ)しく水上(みなかみ)から(めぐ)って来る。この時どす黒い波が鋭く眼の前を通り過そうとする中に、ちらりと色の変った模様(もよう)が見えた。(まばたき)(ゆる)さぬとっさの光を受けたその模様には長さの感じがあった。これは大きな(うなぎ)だなと思った。
 途端(とたん)に流れに(さか)らって、網の()を握っていた叔父さんの右の手首が、蓑の下から肩の上まで()(かえ)るように動いた。続いて長いものが叔父さんの手を離れた。それが暗い雨のふりしきる中に、重たい(なわ)のような曲線を描いて、向うの土手の上に落ちた。と思うと、草の中からむくりと鎌首(かまくび)を一尺ばかり持上げた。そうして持上げたまま(きっ)と二人を見た。
「覚えていろ」
 声はたしかに叔父さんの声であった。同時に鎌首(かまくび)は草の中に消えた。叔父さんは(あお)い顔をして、(へび)を投げた所を見ている。
「叔父さん、今、覚えていろと云ったのはあなたですか」
 叔父さんはようやくこっちを向いた。そうして低い声で、誰だかよく分らないと答えた。今でも叔父にこの話をするたびに、誰だかよく分らないと答えては妙な顔をする。

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