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第一部 第六章 薄明(2)_恐怖の谷(恐怖谷)_福尔摩斯探案集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:「うちあけ話はごめんだよ。だって、ふたりの共謀による殺人だったりして逮捕ということになれば、ひどくやっかいなことになるか
(单词翻译:双击或拖选)

「うちあけ話はごめんだよ。だって、ふたりの共謀による殺人だったりして逮捕というこ

とになれば、ひどくやっかいなことになるからね」

「きみの考えではそうなりそうなのかい?」

 ホームズはいたって元気で、きわめてきげんがよかった。

「ねえワトソン君、この四つ目の卵を平らげたら、いままでにつかめたことをくわしく話

してあげるよ。といって、核心までみとおせたわけじゃないがね――それにはまだほど遠

い――でもあの姿を消した鉄亜鈴のゆくえをつきとめさえしたら――」

「鉄亜鈴だって!」

「おやおや、ワトソン君、ひょっとしてきみは、姿を消した鉄亜鈴がこの事件の解決の鍵

をにぎっているということすら、まだ見抜いていなかったのかい? いや、まあ、きみが

そうしょげることもないさ。ここだけの話だが、マック警部にしてもあの腕ききの田舎捜

査主任にしても、この事実が意味する圧倒的な重要性を見抜いているとは思えないから

ね。片方しかない鉄亜鈴だよ、ワトソン君! 鉄亜鈴をひとつしか使わないスポーツマン

を想像してみるがいい。半身だけが異常に発達した姿――背骨に歪みをきたす危険は目に

みえている。ぞっとするよ、ワトソン君。ぞっとするね!」

 ホームズは口いっぱいにトーストをほおばり、目をいたずらっぽく輝かせながら、頭を

ひねるばかりの私をおもしろそうにみつめていた。彼の旺盛な食欲をみただけで、仕事が

はかどっているのがはっきりとわかった。難題にぶつかって頭をなやましているときは、

まるで苦行僧のようにひたすら考えこむばかりで、ただでさえやせてとがった顔をますま

すやつれさせ、くる日もくる日も食事に手をつけようとさえしないのが、彼のつねだった

からである。

 やがて食事を終え、パイプに火をつけると、ホームズは古い田舎旅館の炉ばたにすわっ

て、ゆっくりと、思いつくままに事件のことを話しだした。それは、考えてから話すとい

うよりは、むしろ、話しながら考えているふうにもみえた。

「うそだね、ワトソン君、とてつもなく大きな、まったくでたらめの、真赤なうそ――わ

れわれのまず出くわしたのがこれなんだよ。これがわれわれの出発点なんだ。バーカーの

言っていることは全部うそなんだよ。ところが、バーカーの話はダグラス夫人の証言に

よって裏づけられている。ということは、夫人もまたうそをついているということなん

だ。ふたりは共謀したうえでうそをついているのだ。そこで当然、つぎのことが問題とな

る――なぜふたりはうそをついているのか? そしてふたりがそれほどまでに隠したがっ

ている真相とは何なのか? さて、そこで、ワトソン君、きみとぼくとで知恵をしぼっ

て、うその背後に隠された真実をさぐりだしてみようじゃないか。

 ふたりがうそをついていることがどうしてわかるか? 彼らの言っているようなこと

は、どうみても現実にはありえないからだよ。まったくへたなうそをついたもんだ。考え

てもみたまえ! 彼らの話によると、犯人は殺害後わずか一分もたたない間に、死体の指

から指輪を、それももうひとつの指輪の奥にはめてあったのを抜きとって、いらない指輪

のほうをもとにもどし――犯人がそんなことをするものかね――さらに、奇妙な紙きれを

死体のそばに残していったというのだ。こんなことはまずもって不可能だよ。もっとも、

きみはこう反論するかもしれない――いや、きみほどの判断力の持主なら、ワトソン君、

まさかしないとは思うがね――指輪は殺されるまえに抜きとられたのかもしれないとね。

だが、ローソクがほんのわずかしかともされていなかったという事実が、犯人と被害者と

のやりとりがごく短いものであったことを物語ってくれている。ずぶとい神経の持主だっ

たといわれているダグラスが、ちょっとおどかされたくらいでそうやすやすと結婚指輪を

わたしたりなんかするものかね? そもそもそんな男が結婚指輪をわたすなんてこと自

体、およそ考えられないじゃないか。だからそうじゃないんだよ、ワトソン君。犯人は、

死体のそばに、ランプをともしてしばらく独りでいたんだ。それだけは確信をもっていえ

るよ。しかし死因が銃撃によるものらしいこともたしかだ。とすると、発砲は、連中が

言っているよりもいくらか前におこなわれたものでなければならなくなる。 といって、

そんなことで思いちがいをするなどということはありえないはずだ。そこで、銃声を耳に

したふたりの男女――バーカーとダグラス夫人の共謀という問題に直面することになるわ

けだ。それに加えて、窓わくの血のあとはバーカーが警察をあざむくためにわざとつけた

ものだということになれば、あの男がますます怪しくなることにきみも異論はあるまい。

 そこで、では殺害が実際におこなわれた時刻はいったいいつだったのかを考えてみなけ

ればならない。十時半までは、召使いたちが屋敷のなかを動きまわっていたのだから、そ

れ以前ということはまずありえない。十一時十五分前に、召使いたちはそれぞれの部屋に

ひきさがり、エイムズだけが食器室に残った。じつは今日の午後、きみが宿屋へ帰ったあ

とで、ぼくはちょっとした実験をこころみたんだ。その結果、書斎でマクドナルドがいく

ら音をたててみても、あちこちのドアをすっかりしめきってしまうと、食器室にいるぼく

には全然きこえないってことがわかったのだよ。しかしそれが家政婦の部屋となるとちが

うんだ。それほど書斎から離れていないせいもあって、書斎で大声をあげると、かすかに

きこえるのだよ。猟銃というものは、こんどの場合もあきらかにそうだが、至近距離から

発射されると、ある程度銃声が殺される。したがって、事件のときもそれほど大きな音で

はなかったかもしれないが、それにしてもしいんと静まりかえった夜中だと、アレン夫人

の部屋にはじゅうぶんとどいたはずだよ。彼女は、自分でも言っていたとおり、耳が少し

遠いらしいが、それでも、騒ぎのはじまる三十分ほどまえに、ドアがばたんとしまるよう

な音をきいたと証言の中で言っている。騒ぎの三十分前といえば、ちょうど十一時十五分

前にあたる。おそらく彼女のきいた音というのが銃声で、実際にはそのときに殺人がおこ

なわれていたのにちがいない。もしそうならば、バーカーとダグラス夫人は、かりにどち

らも直接の下手人ではないとするにせよ、十一時十五分前に銃声をきいて階下 した へおりて

きてから、十一時十五分すぎにベルを鳴らして召使いたちを呼び集めるまでに、いったい

何をしていたのかを考えてみる必要がある。何をしていたのだろう? なぜすぐベルを鳴

らして人を呼ばなかったのだろう? これがいまぼくたちの直面している問題なのだ。こ

れさえ解ければ、事件の解決への道はかなりひらけてくるはずなのだが」

「あのふたりがぐるになっていることはまちがいないよ。夫が殺されてからまだほんの数

時間しかたっていないというのに、ほかの男と笑いふざけているなんて、よほど薄情な女

にちがいない」私が言った。

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