しばらくして、この夫婦に子供が二人できたとき、妻の父母が死に、若い人たちだけで世帯を切り盛りしました。ある朝、夫が窓の前のテーブルに座っていたとき、妻がコーヒーを持ってきました。夫が受け皿に注いで、これから飲もうというとき、お日さまがそれに当たって、はね返った光が上の壁であちらこちら光り、そこでたくさんの輪を作りました。それで、仕立て屋は見上げて、「そうだな、お日さまはあれをとても明るみに出したいようだができないんだ。」と言いました。妻が、「あら、あなた、じゃあそれって何なの?なんのことを言ってるの?」と言いました。仕立て屋は、「お前に言えないよ。」と答えました。しかし、妻は、「私を愛してるなら、話してよ。」と言って、とても愛情たっぷりの言葉をいろいろ使い、誰にも言わないから、と言ってしつこくせがみました。それで、仕立て屋は、何年も前、仕事を探して旅をしていたときすっかり疲れ無一文で、ユダヤ人を殺したんだ、それで苦しんで死ぬ間際に、そのユダヤ人が「明るいお日さまが、これを明るみに出すぞ」という言葉を言ったんだ、それで今、お日さまがそれを明るみに出したがって、壁で光って輪を作ったが、そうできなかったよ、と妻に話しました。このあと、このことを誰にも言わないんだぞ、そうしないとおれは命を失うからな、と妻に特に念を押しました。妻はしっかり約束しました。ところが、また仕事を続けようと座った時、妻は親しい友達のところへ行ってこの話を打ち明け、誰にも言わないようにと頼みました。しかし、3日もたつと、町中がそれを知ってしまい、仕立て屋は裁判にかけられ、処刑されました。こうして、結局、明るいお日さまはそれを本当に明るみに出したのです。
仕立て屋の職人が仕事を探して世間を旅をして歩いていました。あるとき仕事が何もみつからなくて、とても貧しくなり、一文無しになってしまいました。まもなく道で一人のユダヤ人に出会い、金をたくさんもっているだろうと考え、神様を心から追い出し、ユダヤ人に襲いかかって、「金をよこせ。さもないとぶっ殺すぞ。」と言いました。するとユダヤ人は、「命ばかりはお助け下さい。お金は8ファージングしかもっていないのです。」と言いました。しかし、仕立て屋は「金は持ってるはずだ。出せ。」と言って、暴力をふるい、ユダヤ人が死にそうになるまでなぐりました。死にかかっているユダヤ人は最後に、「明るいお日様がこれを明るみに出すだろう。」と言って、死んでゆきました。仕立て屋の職人はユダヤ人の懐をさぐって、金をさがしましたが、ユダヤ人が言ったように8ファージングしかみつかりませんでした。それから職人はユダヤ人を持ち上げて、密集した木々のかげに運び、仕事を探しに旅を続けました。職人は長い間旅をした後、ある町の主人のところに仕事を見つけ、その主人の美しい娘と恋をし、結婚して、仲むつまじくしあわせに暮らしていました。