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『ケンブリッジ見聞録』44

时间: 2016-04-19    进入日语论坛
核心提示:友あり(2)我が家に招待したお客様は6人となり、われわれを含めて総勢8名となった。お客様の内訳は* 日本語勉強中の英国人2
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 友あり(2)
 
我が家に招待したお客様は6人となり、われわれを含めて総勢8名となった。お客様の内訳は
 
* 日本語勉強中の英国人×2
* 英語勉強中の日本人×2
* 日本通の英国人×1
* 日本食好きの英国人×1
 
である。
 
初めはテーブルや椅子を取っ払ってビュッフェ形式にしたらどうか、という案もあったが、できればみんなで同じ話題を囲みたいので、椅子を2つ足してきゅうきゅうと座ることにした。日本人は身体が小さいし、イギリス人はきゅうきゅう座ることに慣れているのでまあ大丈夫だろう。
 
心配された食器だが、案の上全然足りない。
 
私たちは日本から食器はほとんど持ってきていないので、すべてここの家に備え付けのものを使っている。お茶もお味噌汁もマグカップで飲んだり、麺類をサラダ皿で食べたりしている。そもそも6人分が一そろいのはずだが、大皿も小皿も最後の一枚が必ず欠けた部分がある。ワイングラスもタンブラーもそう。ティーカップも足りない。てんでバラバラである。昔読んだ「小公女」で、主人公セーラがお茶会をするために、寄宿舎の屋根裏部屋をごそごそと漁っては「あ、こんなものがあったわ」といいつつセッティングをするシーンがあったが、まさにそんな感じである。戸棚の奥深くまで覗いて大き目のティーポットを引っ張り出してくる。
 
和食とくればお箸だが、お箸も足りない。和食でおもてなしをする機会があろうとは思っていなかったので、自分たちの分しか持ってきていないのだ。洗ってとっておいた使用済みの割り箸を総動員しても6膳しかない。街で割り箸を売っているところもあるが、今更お箸は買いたくないし、今日来ていただく奥様に電話をしてお箸をお願いする。
 
紙ナプキンも5枚しかない。仕方がないので一個所だけキッチンペーパーを置く(そこはポーラさんが座ってくれた)。
 
献立は、ちらしずし、いり鶏(こっちで売ってる里芋をいれて大失敗)。アスパラガスとオイスターマッシュルーム(平茸のようなもの)のバターソテー、仕上げにお醤油を少々。海藻サラダ(トッピングはアボガドとトマトと海老)、中華風ドレッシング。それから持ってきていただいた中華風の揚げものと色とりどりの野菜のマリネである。これを部屋の脇の丸テーブルに並べる。豪華である。
 
食事のめどがついたので、玄関とトイレの最終確認。
 
そういえばスリッパが足りない。我が家では来客だろうと工事の人だろうといつもスリッパに履き替えてもらうのだが、それが4足しかない。つくづく「4人様限定」仕様なのである。主に使う部屋はフローリングだし、もうすぐ引っ越すから構わないかな、などと思い、早目に来ていただいた日本人の奥様とも相談して、今日ばかりは「土足解除」にする。 初めは少し飲んでから食事にすることにして、通りに面した客間の暖炉(実はガスストーブ組み込み)に点火しておく。
 
いよいよ客人到来である。
 
初めはクリス(♂)さんが赤ワインと私の頼んだアイスクリームを持って登場。パリっとスーツを着ている。ヒュ~。いきなり靴を脱ぎ始める。「あ、靴は脱がなくても…」というが、「何をいうんだ、ここは日本人の家だろう、靴を脱ぐのが当たり前だ」という。
 
次はポーラさんたちである。ドアを開けると、二人ともすでに外で靴を脱いでいる。そうだった。ポーラさんは何度もうちに来ていて、いくら中で脱いでも構わないといっても靴を脱いでから入ってくるのだ。ポーラさんの彼も大人しくそれに従っている。
 
なんとなく人が揃ったところで乾杯をする。初対面のクリス(♂)さんとポーラさんたちもお互い自己紹介し合って談笑している。
 
それからクリス(♀)さんが白ワインを持って現れた。なんと都合がいいのだ。これで赤白ワインが揃った。ビールもある。家が近い彼女にしては遅れてきたが、二軒長屋の反対側の家に行ってしまったり、うちに辿りついても、暗がりで垣根の枝に引っ掛かったりして時間がかかったそうだ。遅れてごめんなさいという彼女に早速中に入ってもらうと、彼女も当然のように靴を脱ぎ始める。「やっぱりあなたも靴を脱ぐのね」というと、とんでもないというように「あら、私はイギリスでもうちの中では靴を脱いでるわ。」といった。靴を脱ぐのはイギリスでも「いい方法」として認識されているのかもしれない。
 
クリス(♀)さんが自己紹介すると、クリス(♂)さんは大いに受けている(ちなみにクリス(♂)はChristopher、クリス(♀)はChristineである)。
 
それから最後に英語を勉強している日本人の女性が来たところで全員揃って「かんぱーい」と日本語で乾杯。
 
改めて全員を紹介する。ポーラさんのことを「日本語を勉強している英国女性」と紹介するとポーラさんが慌てて、「勉強していた」にしてちょうだいといった。ポーラさんの彼は横で何か揶揄している。ポーラさんの彼はビール党らしい。夫が最近気に入っているビールを飲んで「これはいいビールだねぇ」と二人でビール談義。
 
クリス(♂)さんは「目下日本語勉強中の…」というと「ぼくは怠け者だから」とにやにや笑いながら否定する。
 
クリス(♀)さんは日本に長く住んでいたと紹介すると、日本に行ったことのあるクリス(♂)さんが、どこに行ったとか、どこに住んでいたとか、盛り上がっている。ポーラさんたちも数年のうちに日本を旅行するだろう。地図を引っ張りだしてくると日本人側も自分の出身地を示したりして、食事の前からすっかり打ち解けている。
 
クリス(♀)さんが、皆はもともと知合いなのか、と他の人に聞いている。ポーラさんが私たちに, クリス(♀)さんとはいつから友達なのか、と聞いてきた。昨日知合ったばかりだというと、それはいい、と誉めてくれた。
 
やはり人数が多いのはいい。楽しい夜である。(まだ続く)
 
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