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奇面城的秘密-警视总监

时间: 2021-12-28    进入日语论坛
核心提示:警視総監(そうかん) その夜は、四十面相がつかまって、ヘリコプターではこばれてくるというので、捜査一課長の堀口(ほりぐち)警
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警視総監(そうかん)


 その夜は、四十面相がつかまって、ヘリコプターではこばれてくるというので、捜査一課長の堀口(ほりぐち)警視も、課長室につめていましたが、庁内の捜索がおわってしばらくすると、ひとりの警官が、課長室へはいってきて、挙手(きょしゅ)の礼をしました。
「課長、総監がお呼びです。」
「え、総監が? 総監室にきておられるのか。」
「四十面相のことをきかれて、いま公舎(こうしゃ)からおいでになったところです。」
「そうか。すぐいく。」
「課長、それから、中村係長もいっしょにくるようにとのことでした。呼んでまいりましょうか。」
「うん、呼んでくれたまえ。ぼくはさきにいっているから。」
 堀口捜査一課長が、警視総監の部屋へはいると、まもなく中村係長もそこへやってきました。
 総監室は、りっぱな広い部屋です。まんなかに大きな机がおいてあって、そのむこうに背広すがたの山本警視総監が、ゆったりと、こしかけていました。夜なかのことですから、秘書官もつれていないのです。
「や、ごくろうですね。四十面相のさわぎを聞いて、心配だから、わたしも、ちょっときてみました。くわしいことは、まだ聞いていないが、このさわぎは、どうしたことだね。」
 総監にたずねられたので、堀口課長は、今夜のできごとを、かいつまんで報告しました。
「ふうん、すると、また、あいつにしてやられたわけだね。明智君が、ヘリコプターでつれてきたまでは、おおできだが、それからあとがいけない。いくら変装の名人だからといって、にせものをつかまされたり、警官にばけて庁内にはいりこまれたりしたのでは、警視庁の名おれだ。しっかりしてくれなくちゃこまりますね。これはいったい、だれの責任なんだね。」
「わたしの責任です。わたしの部下が、あやまちをしでかしたのですから。」
 堀口課長が、もうしわけなさそうに答えました。
「いや、責任はわたしにあります。わたしが、この事件のかかりなのですから。」
 中村係長も、青ざめた顔でおわびをいって、うなだれてしまいました。
「たったひとりの四十面相が、警視庁の手におえないとあっては、都民にもうしわけがない。これからは、しっかりやってくれたまえ。それにしても、四十面相というやつは恐ろしい怪物だね。われわれは、やつのおもちゃにされているようなもんだ。
 ところで、わたしは、さっき、この事件について、ひとつの案を思いついたのだがね。じつは、その案をわたすために、こうして出かけてきたのだ。これだ。ここにわたしの案というのを書きつけておいたから、あとで読んでくれたまえ。」
 山本総監は、そういって、ポケットから封筒をとりだし、机ごしに堀口課長に手わたしました。その封筒のなかに総監の案を書いた紙がはいっているのです。
「今夜、よく読んでくれたまえ。その案についての諸君の意見は、あすのあさ聞くことにしよう。では、わたしは、これで帰るから。」
 総監はいすから立ちあがって、ゆったりとドアのほうへ歩いていきます。堀口課長と中村係長は、それを見おくるためにあとにしたがいました。
 廊下に出て、しばらくいきますと、むこうから、あわただしくかけてくるすがたがありました。明智小五郎と小林少年です。
 明智は警視総監の前までくると、とおせんぼうをするように、立ちはだかりました。
「アッ、明智君!」
 総監は、おどろいて立ちどまります。
「総監、ちょっとお話があります。」
「え、わたしにかね。」
「そうです。きゅうにお話しなければならないことができたのです。」
「ながい話なら、部屋にもどるが……。」
「いや、ここでけっこうです。総監、ふしぎなことがおこりました。警視総監がふたりになったのです。」
「え、なんだって? きみがなにをいっているのか、わたしにはよくわからないが……。」
「ぼくにも、さっぱりわかりません。じつは、いま総監の公舎へ電話をかけて、たずねたのです。すると、山本総監は、公舎の寝室でよく眠っておられるということでした。いったい、これはどうしたわけでしょうか。」
「そ、そんなばかなことが……。」
「いや、ぼくは、それだけでは信用できないので、総監をおこしてもらって、電話口に出てもらいました。ぼくは、いま総監と話してきたばかりです。」
「ば、ばかなッ。でたらめもいいかげんにしたまえ!」
 山本総監は、まっ赤な顔になってどなりつけました。
「でたらめではありません。あなたにはおわかりになっているはずです。」
「わたしに、なにがわかっているというのだ。」
「ふたりの総監のうちひとりは、にせものだということがです。」
「にせものだって?」
「そうです。あなたが、にせものなのです。ぼくは、さっきから四十面相が、なぜ、警官にばけて警視庁にはいりこんだかということを考えていました。すると、あなたが、このま夜なかに、ひょっこりと総監室にあらわれて、堀口課長や中村係長を呼びつけました。ぼくは、こいつはおかしいぞと思ったのです。四十面相というやつは、とっぴなことをやって、世間をアッとおどろかせるのが、だいすきです。じぶんの力を見せびらかしたいのです。物をぬすむのにも、いついつかの何時にぬすむという予告をして、じゅうぶん用心させておいてぬすむのがすきです。これも世間をアッといわせたいからです。それに、警視庁は、四十面相にとってはにくいかたきです。そのかたきを、アッといわせてやったら、どんなにゆかいでしょう。四十面相はきっと、そう考えたと思います。
 四十面相が警官に化けただけでも、世間はアッといいます。それが、警視総監に化けたらどうでしょう。大どろぼうが警視総監にばけるなんて、じつにすばらしい思いつきではありませんか。」
 明智はそこまでいって、じっと相手の顔を見つめました。
「それじゃ、きみは、わたしが四十面相だというのか。」
「そうだ。きみは四十面相だッ! ついちかごろ、警視総監の背広が一着ぬすまれている。それはきみが、部下にぬすませたのだ。そして、その背広を警官の服といっしょに、あの大かばんに入れさせておいたのだ。きみは警官に化けてここへやってきた。そして、どこかのあき部屋で、その背広と着かえ、総監になりすまして、総監室へはいったのだ。」
 ああ、なんということでしょう。世間に知れわたっている警視総監と、そっくりの顔に化けるなんて、四十の顔をもつ、変装の大名人でなくてはできないことです。
 それにしても、明智に見やぶられた四十面相は、ここで、どんな手をうつのでしょうか。

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