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一寸法师-误解(04)

时间: 2021-09-29    进入日语论坛
核心提示: 紋三は照れ隠しに、様々の証拠を並べ立てた。「マア、そんなものが私の部屋にあったなんて、ちっとも知りません。明智さんが見
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 紋三は照れ隠しに、様々の証拠を並べ立てた。
「マア、そんなものが私の部屋にあったなんて、ちっとも知りません。明智さんが見つけなすったのですか」
「イイエ、小間使のお雪です。あれが明智さんに買収されていたのですよ」
 美しい夢を台なしにされた紋三は、自棄(やけ)気味になっていた。
「マア、そうですの。でもそれはちっとも知りませんわ。さっきおっしゃった手紙なら覚えがありますけれど、あれまで明智さんの手に這入っているのですか。……あの手紙なんです。私が初めて本当の下手人を知ったのは。不具者が山野の頼みで死骸の始末をしたことを打明けて、私を脅迫して来たのです。私と主人の関係や私の気性をよく知っているものだから、その弱味につけ込んで、私を思う様にしようと企らんだのです。あの手紙は一番最初明智さんがいらしったあのあとで受取ったのですよ。あの時まで三千子が死んだことさえ半信半疑でした。でなければ、私が三千子をどうかしたのだったら、何で明智さんなんかお願いするものですか」
 紋三は余りにことが意外なのと、飛んだ思い違いをして、夫人と一緒に死のうとまでいい出した恥かしさ、この納まりをどうつけていいのだか、見当がつかなくなってしまった。
 すっかり秘密を打開けてしまった百合枝は、もう何も()もおしまいだという(てい)で、がっかりうなだれていたし、美しい夢の国から現実界へつき落された紋三は馬鹿馬鹿しさと恥かしさに、咄嗟にいうべき言葉もなくぼんやりそこに坐っていた。長い間気まずい沈黙が続いた。
「では、あの手紙に書いてあった三人の内の不明な一人は」やっとしてから、紋三はいやに事務的な調子に変って尋ねた。「山野さんだったのですか。つまりあの不具者が山野さんの頼みを引受けて死体を埋めた訳ですね」
「そうですの」夫人は答えは答えたけれど、もうどうでもいいという様な、なげやりな調子だった。
「それがうそでないことは、丁度三千子がいなくなってから、主人は店のお金を随分持ちだしているのです。支配人が心配して私に話してくれたのですが、主人にそんな大金の入用があったとは思えないのです。私はあの手紙を見ると、すぐそこへ気がつきましたの。そしてそのお金はもしかしたら、半分は運転手にやったのかも知れません。主人があの男を態々大阪まで追っかけて行ったのは、三千子を誘拐したのを、取戻すためだといってましたけれど、あとでは秘密を口外させないために、お金をやりにいったのだと分りました。でも私は主人を疑う様な素振(そぶり)は、これっぽっちも見せないでいました。ああして病気までしているのを見ると、気の毒で仕様がなかったのです」
「蕗屋がどうかして秘密を知ったのですね」
「エエ、はっきりしたことはいえないんだけれど、あのゴミ車を()いたのが蕗屋じゃなかったかと思うのです。だって、まさか山野自身がそんな真似はしまいし、養源寺さんは、あの不具者でしょう。外に三千子の死骸を(はこ)ぶ様な人がありませんもの。しかし、そんなことを今更詮索(せんさく)して見たって始まらないわ。小林さん、あたしどうすればいいんでしょうね」

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