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妖怪博士-恶魔的真面目(2)

时间: 2021-10-25    进入日语论坛
核心提示:「中村君、こんどの事件には、ひどくつじつまのあわぬ点があるのを、お気づきでしょう。殿村もそれをただ一つの武器にして、ぼく
(单词翻译:双击或拖选)

「中村君、こんどの事件には、ひどくつじつまのあわぬ点があるのを、お気づきでしょう。殿村もそれをただ一つの武器にして、ぼくに食ってかかりましたが、なぜ犯人が犯人自身の罪をあばいたかということです。蛭田博士が殿村に化けて、せっかくかくしておいた子どもたちや機密文書のありかを、わざわざ発見してみせたかということです。これをどう解釈すればいいでしょう。
 答えはただ一つです。あいつはふくしゅうしたかったのです。」
「エッ、ふくしゅうですって? いったいなんのうらみで、だれにふくしゅうしたいというのですか。」
 明智の意外なことばに、中村係長はびっくりして、聞きかえしました。
「ぼくたちにです。ぼくと少年探偵団にです。」
「エッ、少年探偵団に。」
「そうです。少年探偵団のことは、あなたもむろんごぞんじでしょうが、考えてごらんなさい。蛭田博士に誘かいされた四人の少年は、残らず少年探偵団の有力な団員ではありませんか。」
「ああ、そうでした。それはぼくも知らぬではなかったのですが、しかし……。」
「あいつはもうちゃんと目的をはたしてしまったのです。目的をはたしたからこそ、少年たちは、われわれの手に返す気になったのです。その目的とはなんであったかといえば、あの子どもたちを思うぞんぶん苦しめることでした。あいつは蛭田博士という、うすきみの悪い怪人物に化けて、子どもたちをとりこにし、さんざんこわがらせ、いじめぬいたのです。それであいつのふくしゅうの目的は、じゅうぶん達したわけなのです。」
「しかし、あの機密文書は?」
「あれも少年探偵団をこらしめる手段にすぎません。団員の少年だけでなく、その一家を苦しめて、ざまをみろと言いたかったのです。ちょうど相川泰二君の家に、技師長のおとうさんには命にもかえがたい重要文書が保管されていたので、得たりかしこしと、それをぬすみださせて、相川一家を不幸のどん底におとしいれたのです。もしほかの少年たちの家にも、あれほどたいせつな品物があったら、きっとぬすみだしていたことでしょうが、さいわいにそんな重大な品物がなかったのです。」
「すると、あの機密文書は、スパイに売りわたすためにぬすんだのではなかったのですか。」
「そうですよ。もし金にかえるのが目的だったら、何を苦しんで、自分自身でそのかくし場所をあばいたりするでしょう。あいつは新聞などで、おそるべきスパイだとか、国賊だとかいわれていましたが、それだけは無実の罪です。」
「すると、犯人はただ少年探偵団員をいじめたいばっかりに、あんなことをしたとおっしゃるのですね。しかし、それなれば、なにも危険をおかして探偵に化けたりして、子どものかくし場所をあばいたりする必要はないじゃありませんか。あのままほうっておけば、子どもたちはもっと苦しむわけですからね。」
「ところが、そうしていられない事情がおこったのです。」
「といいますと?」
「ぼくがこの事件の探偵を引きうけたことが、あいつにわかったからです。あいつはぼくの実力を知っています。ぼくが事件を引きうけたからには、遠からず蛭田博士のかくれがが発見され、子どもたちもとりもどされるかもしれないと考えたのです。あいつは、相川君たち四人だけでなく、少年探偵団員ぜんぶを同じようなひどいめにあわせようと考えていたらしく思われます。ところが、ぼくが事件に関係して、にわかに蛭田博士の身辺があやうくなったものだから、ほかの少年たちを誘かいすることはあきらめて、そのかわりに、こんどはぼく自身にたいしてふくしゅうしようとしたのです。
 しかし、いくらあいつでも、まさかぼくを誘かいすることはできませんが、そんなことをしないでも、ぼくをいじめる手段はちゃんとあるのです。ぼくは探偵事業を生命としているものです。そして、名探偵とかなんとかいわれているものです。そのぼくが、もしべつの私立探偵と競争して、むざむざ敗北したならば、こんな痛快なふくしゅうはないじゃありませんか。ぼくの探偵としての名声は、その日からうしなわれ、そのべつの探偵がかわって名探偵の名をほしいままにするわけですからね。ぼくとして、これほどつらいことはありません。
 あいつはそこへ気がついたのです。そして、あんなせむしの探偵に化けて、ぼくに競争をいどみ、ぼくの鼻をあかそうとたくらんだのです。自分でかくしておいたものを、自分でさがしだしてみせるのですから、こんなたやすいことはありません。あいつは、確実にぼくをうち負かすことができるのです。
 少年たちを、さんざんいじめて、目的をたっしてしまった。その少年たちのかくし場所を利用して、こんどはぼくをいじめようというのです。なんとうまい思いつきではありませんか。
 もしぼくが、なんの用意もなく、あいつに立ちむかったならば、まんまと敵の思うつぼにはまったかもしれません。ところがぼくは小林君という、リスのようにすばしっこい助手を持っていました。その小林君を変装させ、殿村探偵を尾行させて、しゅびよく敵の裏をかくことができたのです。」
 中村係長も刑事たちも、この明快な説明を聞いて、なるほどそうだったのかと、いまさらのように明智探偵の明察に感じいりましたが、しかし、まだどうもふにおちぬところがあります。
 中村係長は、もどかしそうに両手をにぎりあわせながら、明智の言葉をさえぎって、質問しました。
「しかし、これほど世間をさわがせて、わが身の危険をおかしてまで、そんなふくしゅうをするというのは、いったい何者です。まるで気ちがいざたではありませんか。」
「そういうとっぴな気ちがいめいた犯罪者を、われわれはたったひとり記憶しているはずです。変装のたくみさといい、誘かいした子どもたちを傷つけなかった点といい、それに、まるで奇術師のようなやり口といい、ある人物をまざまざと思いださせるではありませんか。
 少年探偵団というものが、どういうきっかけで組織されたか、また少年探偵団が、そんなにうらまれるほど苦しめた相手は、いったいだれであったかを、思いだしてごらんなさい。」
 それを聞くと、中村係長はギョッとしたように、明智の顔を見つめました。
「おお、それじゃ、あなたは……。」
「そうですよ。ぼくはあの怪盗二十面相のことをいっているのです。」
 明智探偵は、とうとう、そのおそろしい人物の名を口にしました。
 ああ、怪盗二十面相。二十のまったくちがった顔を持っているといわれた、あの変装の名人、由緒(ゆいしょ)ある美術品ばかりをねらって、金銭などには目もくれず、血を見ることがきらいで、ピストルや短刀などをほとんど使用したことのない、あの紳士盗賊。小説「怪人二十面相」や「少年探偵団」をお読みになった読者諸君は、その二十面相が、どんなふしぎな盗賊であったかを、よくごぞんじでしょう。
 明智探偵は、せむしの殿村も、怪人物蛭田博士も、その二十面相の変装にすぎないというのです。

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