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ゴングの秘密

时间: 2023-09-15    进入日语论坛
核心提示:ゴングの秘密そのとき防空壕の土手のそばに、みょうなことが起こっていました。そこには少年探偵団とチンピラ隊の子どもたちが、
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ゴングの秘密


そのとき防空壕の土手のそばに、みょうなことが起こっていました。
そこには少年探偵団とチンピラ隊の子どもたちが、十人ばかり集まって、なにかひそひそとささやきあっていました。
「ね、この考え、いいだろう。おれ、マネキン人形屋のゴミ箱から、これをひろってきたんだよ。子どものマネキン人形だよ。こいつに俊一さんの服を着せるんだよ。」
チンピラ隊の安公という少年が、とくいになって、みんなに話しているのです。安公はじぶんと同じくらいの大きさの、マネキン人形をわきに立たせて、両手でたおれないように、かかえていました。かたほうの耳がかけ、手足もきずだらけになって、もうつかえない人形です。
「きみは、ずいぶん、へんなことを考えるんだねえ。そんなこと、うまくいくと思うかい?」
少年探偵団のひとりが、からかうようにいいました。
「うまくいかないかもしれないよ。だって、もともとじゃないか。まあ、ためしに、やってみるんだよ。だれか俊一さんの洋服かりてきてくれよ。」
チンピラの安公は、あくまでいいはるのです。
みんなは、小林団長の意見をきいてみました。すると、小林少年は、
「やってみたらいいよ。安公の考えはおもしろいよ。ゴングのやつ、だれも助けにきてくれないんだから、ひょっとしたら、その手にのるかもしれない。ぼく、俊一君の洋服かりてきてやるよ。」
小林少年は、そういって、まっ暗な庭のなかをかけだしていきましたが、しばらくすると、俊一君の着がえの服を持って、帰ってきました。
それから、みんなして、きずだらけの人形に俊一君の服を着せ、人形をしゃがませ、地面にみじかい木の棒を立て、たおれないようにしました。頭には学生帽を深くかぶせましたから、ちょっと見たのでは、俊一君とそっくりです。人形の顔も、なんだか俊一君ににているようです。
小林少年は懐中電灯で、それをしらべながら、
「うまくできたね。ぼくだって、ちょっと見たら俊一君だと思うよ。」
と、安公の知恵をほめるのでした。
やみのなかに、花崎俊一君のカカシがしゃがんでいるわけです。
それにしても、このカカシは、いったい、どんな役目をするのでしょうか。チンピラの安公は、じつにへんなことを、思いついたものです。
カカシができあがると、少年たちはそのまわりに立って、時のくるのを待ちかまえるのでした。
そのあいだにも、防空壕の水の中と、てんじょうの穴の上との、きみょうな問答がつづいていました。
「で、きさま、おれの魔法の種がわかるというのか。」
水の中のゴングが、あざけるように叫びました。
「空いっぱいにゴングの顔があらわれたのは、ガラスにかいた絵を映写したんだよ。」
明智探偵が、こともなげに答えました。
「子どもだましだよ。しかし、大じかけな子どもだましだ。まずヘリコプターを飛ばせて、白い煙を空いっぱいに、まきちらかすのだ。その煙がスクリーンになる。それに向けて、どこかの屋上にすえつけた、サーチライトのような強い光の映写機で、ガラスにかいたゴングの顔をうつすのだ。空にあらわれるゴングの顔が、なんだかもやもやして、はっきりしなかったのはそのためだよ。ゴングが笑っているように見えたのも、スクリーンの白い煙が動くので、そんなふうに感じられたのだ。
どうだ、そのとおりだろう。返事をしないところをみると、ぼくのいったことが、あたっているのだね。
だが、そんなことをするのには、たいへん費用がかかる。ゴングは、なぜそんなバカなまねをしたのか。それは花崎さんをおどかすためだよ。いや、世間ぜんたいをおどかすためだよ。そして、このぼくに挑戦したのだ。え、そうだろう。きみはそういう大げさなことがすきだからねえ。」
ああ、空にあらわれた怪物は、ガラスの絵を映写したのにすぎなかったのです。それにしても、なんというきばつなことを考えついたものでしょう。
水の中のゴングは、だまっていました。懐中電灯の光をあててみると、目をつむっています。明智にすっかりいいあてられて、一言いちごんもないというようすです。明智はなおも話しつづけました。
「池の中から、巨人の顔が浮きあがった秘密も、同じような子どもだましだ。大きなゴムびきのぬのか、ビニールに巨大なゴングの顔をかいた。目はガラスかプラスチックの目玉をいれ、鼻は高くふくらませ、口は大きくくぼませ、やっぱりプラスチックかなにかで、二本の牙をはやした。
その大きなゴムぬのかビニールの下には、空気のもれない袋を、いくつもくっつけておき、長いゴム管で、庭の茂みのかげから、あっさく空気を送ったのだ。すると袋がふくらんで、巨大な顔ぜんたいが、スーッと池の底から浮きあがってくるというしかけなのだ。
どうだ、これもあたっているだろう。いかにも、きみの思いつきそうな手品だからね。
俊一君が、あの巨大な顔を見て逃げだすと、木の茂みにかくれて、あっさく空気を送っていたきみは、すぐに、そこからとびだして、池の中の顔をひきあげ、袋の空気をぬいて、小さくおりたたみ、それを持って、姿をくらましてしまった。たぶん、そのときには助手がいたのだろう。でなくては、あっさく空気のしかけまで、ひとりで運びだすことは、むずかしいからね。」
これで妖人ゴングの魔法の種は、すっかりとけてしまいました。さすがに名探偵です。明智はずっと早くから、なにもかも見ぬいていたのでした。
水の中のゴングは、それでもまだ、だまりこんでいました。水の上に首だけが、じっと浮かんでいますが、生きているのか死んでいるのかわからないほど、しずかです。
明智は、なおも話しつづけます。
「おい、ばかに考えこんでしまったね。ぼくのいったことが、みんなあたっていたので、すっかり、しょげてしまったんだね。ハハハハ……、ところが、きみにはまだ、もっとでっかい恐ろしい秘密があるのだ。
きみはなぜ、マユミさんと俊一君を、執念ぶかくねらったか。それはおとうさんの花崎検事を苦しめるためだ。きみは花崎検事にひどいめにあったことがある。その復讐をしようとしたのだ。
花崎さんは、すこしも悪い人ではない。しかし検事としては、罪人をきびしくせめるのがつとめだ。だから、花崎さんにうらみを持つものは、罪人のほかにない。きみは花崎さんのかかりで、重い刑をうけたことがあるにちがいない。
ぼくは花崎さんに、そういう罪人の心あたりはないかときいてみた。すると花崎さんは、じぶんをひどくうらんでいるかもしれないという五―六人の名まえを、紙に書いて見せてくださった。その中に、きみの名まえがあったのだ。
ぼくは、さいしょから、その男ではないかとうたがっていた。ただ花崎さんに復讐するだけなら、あんな大げさな魔法を使うひつようはない。その男は、世間をあっといわせたかったのだ。ぼくの前に姿をあらわして、これ見よがしに、戦いをいどんできたのだ。
マユミさんがぼくの助手になったのが、こんどのきみの復讐の、きっかけになったのかもしれない。マユミさんをひどいめにあわせれば、花崎さんを苦しめるだけでなく、ぼくをおこらせることができる。きみは、いっぺんに二つの復讐ができるのだ。
またきみは、小林君や少年探偵団にもうらみがある。だから小林君を、あんな恐ろしいめにあわせたのだ。そして、少年探偵団をおびきよせ、からかったり、いじめたりするつもりだったのだ。
きみ、ゴング君。花崎さんばかりでなく、ぼくや小林君に、そういううらみを持っている男が、世間にふたりとあるだろうか。
ここまでいえば、もうわかっただろう。ぼくは、きみの正体を見やぶったのだ。」
明智探偵は、水の中に首を浮かべているゴングの顔に、まっこうから懐中電灯の光をあてて、底力のある重々しい声で、さいごの宣告をあたえました。
「きみは怪人二十面相だっ! べつの名は怪人四十面相だっ!」
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