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少年探偵団ばんざい

时间: 2023-09-15    进入日语论坛
核心提示:少年探偵団ばんざいああ、妖人ゴングが、あの怪人二十面相だったとは、その場にいあわせた中村警部も、あっとおどろいたほどです
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少年探偵団ばんざい


ああ、妖人ゴングが、あの怪人二十面相だったとは、その場にいあわせた中村警部も、あっとおどろいたほどですから、だれひとり、そこまで気づいているものはありません。それをすっかり見ぬいた明智は、さすがに名探偵といわなければなりません。
明智は中村警部に、二十面相を水の中から、ひきあげることをたのみました。警部は、防空壕の土手の下にいた警官たちを呼びあげて、犯人を逮捕するように命じました。
そのとき、警官たちにまじって、小さな人影が防空壕の上にかけあがり、明智探偵のそばによって、なにかささやきました。小林少年です。
明智は小林君の話を聞くと、ニッコリ笑ってうなずき、
「それはいい思いつきだ。きっと、そういうことがおこるよ。」
と、ささやきかえすのでした。
二十面相は防空壕の穴の外にひき出され、手錠をはめられ、三人の警官にとりかこまれて、グッタリとうずくまっていましたが、やがて顔をあげると、明智にむかって、なにかいいはじめました。
「明智君、ざんねんだが、おれの負けだよ。まんまと、きみのしかけのわなにはまってしまった。きみの計画に、これほど裏の裏があろうとは、さすがのおれも気がつかなかった。こんどもまた、きみにやられたが、このしかえしはきっとするから、そう思っているがいい。
だが、明智君。たった一つ聞きたいことがある。マユミと俊一はどこにかくしたのだ。山の中にかくしたのも、にせものだった。この防空壕へかくしたのも、にせものだった。いったい、ほんもののふたりはどこにいるのだ。おれは手錠をはめられている。まわりには、おまわりがウジャウジャいる。もう逃げられっこないよ。秘密をうちあけても、だいじょうぶだよ。」
明智探偵はにこにこ笑って、それを聞いていましたが、相手のことばがおわると、すぐに答えました。
「ふたりは、ここにいるよ。マユミさん、俊一君、もういいから、ここへいらっしゃい。」
その声におうじて、まっ暗なむこうの茂みから、三つの人影がかけ出してきました。明智が懐中電灯をそのほうにむけますと、それは小林少年と、マユミさんと、俊一君であることが、わかりました。
「ああ、ここにいたのか。だが、いく日も庭にかくれていたわけじゃなかろう。いままで、いったい、どこにかくれていたのだ。」
二十面相が、くやしそうにどなりました。
「そんなに聞きたければ、おしえてやろう。ふたりは、ぼくのアパートに、かくまっておいたのだよ。」
明智がいいますと、二十面相は首をふって、
「うそをいうな。おれはきみのアパートを、いくどもしらべたが、あすこにはだれもいなかった。」
「ところが、いたのさ。ぼくのアパートには、いろいろのしかけがある。だれにもわからないかくれ場所も、ちゃんと作ってあるのだ。いくらきみが探しても、あのかくれ場所はわかるはずはないのだよ。」
明智探偵事務所は、麹町アパートにありましたが、アパートといっても、一室や二室かりているのではなく、六つぐらいも部屋があるのですから、こっそり工事をすれば、そういう秘密のかくれ場所を作ることもできたのです。
二十面相はそれを聞くと、まただまってしまいました。マユミさんと俊一君は、その問答のあいだに土手をおりて、そこにむらがっている少年たちのうしろに、姿をかくしました。
「おい、二十面相、立つんだ。警視庁の特別室が、きみを待っている。さあ、案内してやるから、きたまえ。」
中村警部がどなりました。二十面相は三人の警官にひったてられて、防空壕の土手をおりるのでした。中村警部と残りの警官は、懐中電灯を照らして、厳重にその前後を見はっています。
ところが、二十面相が土手をおりきったときに、なんだか、わけのわからないことが、起こりました。
あっというまに、三人の警官がつきとばされ、二十面相が走りだしていたのです。見ると手錠はいつのまにかはずされて、地面にほうりだされていました。
そしてやみの中から、二十面相の爆発するような笑い声が、ひびいてきたではありませんか。
「ワハハハハ……、おれは魔法つかいだ。手錠をはずすなんて、朝めしまえだよ。マユミはどこにいる。俊一はどこにいる。いまこそ、きみたちを、ひっとらえてくれるぞっ!」
二十面相はそう叫びながら、まっ暗な庭の中を、あちこちとかけまわり、マユミさんと俊一君を探しもとめました。
少年探偵団とチンピラ隊の少年たちは、「ワーッ、ワーッ。」と叫んで、ひとかたまりになって逃げまわっています。マユミさんと俊一君は、その中にまぎれこんでいるのか、どこにも姿が見えません。まるで、暗やみの中の鬼ごっこみたいです。逃げる少年たちの一団、それを追いかける二十面相、そのまた二十面相を追いかける警官たち。なにしろまっ暗な中ですから、懐中電灯が三つや四つあったって、なにがなんだかわけがわかりません。
「やい、マユミ、俊一、どこにいるんだ。いまに思いしらせてくれるぞっ。」
二十面相が、恐ろしい声でどなりました。
「ワーッ、ワーッ……。」少年たちは、ひとかたまりになって逃げていきます。そのとき、ひとりの少年が逃げおくれて、地面にうずくまっているのが見えました。
「あっ、俊一だな!」
二十面相はそう叫んで、その少年にとびかかっていきました。そしてたちまち、少年をこわきにかかえると、くるっと追手のほうをふりむいて、仁王におうだちになりました。
「さあ、人じちができたっ。おれに手だしをしてみろ、こいつをしめ殺してしまうぞ。さあ、どうだ。明智はいるか。おれの底力がわかったか。ワハハハ……、いいか、この俊一の命がおしかったら、みんな向こうに行けっ! おれがここをでていくのを追いかけるな。」
二十面相は、気ちがいのようにわめくのでした。すると、暗やみの中から、ひとりの小さい人影が近づいて、懐中電灯の光を、パッと二十面相のほうに向けました。
「おい、二十面相。この光で、よく見たまえ。きみがだいているのは、人間にしては軽すぎやしないかい? それは俊一君じゃないよ。俊一君によくにた人形だよ。」
二十面相はそれを聞いたとき、ギョッとしたように、こわきにかかえているものを見つめました。たしかに、人間にしては軽すぎたのです。防空壕の水ぜめでつかれはてた二十面相は、心がどうてんして、そこへ気がつかなかったのです。花崎さんの庭に、マネキン人形のわながしかけてあるなんて、だれが想像するでしょう。まして、血まよった二十面相、それを生きた少年と思いこんだのは、むりもないことでした。
俊一君だとばかり思っていた人じちが、人形だとわかると、二十面相は、ハッとして立ちすくんでしまいました。そこにすきができたのです。そのすきをのがさず、五人の警官が四方からとびついていって、二十面相をつきたおし、地面におさえつけてしまいました。
手錠はだめだとわかっているので、こんどは五人が持っていた縄をつなぎあわせて、二十面相の手といわず、足といわず、ぐるぐる巻きにしばりあげてしまいました。そして、みんなで二十面相のからだを持ちあげて、おもてに待っている三台のパトロールカーの一つへ運びました。
その自動車には、中村警部とふたりの警官が乗り込み、二十面相をおさえつけたまま、警視庁へといそぐのでした。のこる二台の自動車にも、それぞれ警官たちが乗りこんで、二十面相の車の前とうしろから護衛して走るのです。いかなる二十面相も、もうどうすることもできません。
花崎さんの庭では、少年探偵団とチンピラ隊の少年たちが、明智探偵と小林団長をかこんでいました。そこへ家のほうから、主人の花崎さん夫妻が近づいてきました。少年たちにまもられていたマユミさんと俊一君が、おとうさんとおかあさんのそばへ、とびついていきます。
花崎さんは、ふたりを両手でだきしめながら、お礼のことばをのべるのでした。
「明智さん、小林君、それから少年探偵団のみなさん、ほんとうにありがとう。わたしは、こんなうれしいことはありません。」
「こんやの殊勲者しゅくんしゃは、このチンピラ隊の安公ですよ。」
明智探偵が安公の手をとって、花崎さんの前におしやりました。すると花崎さんは、モジャモジャと、きたない毛ののびた安公の頭をなでながら、またお礼をいうのでした。
それから花崎さんは、マユミさんと俊一君の手をひきながら、家のほうへ、みんなを案内しましたが、日本座敷の縁がわに近づいたとき、中から書生しょせいさんがとび出してきました。
「いま、警視庁の中村さんから電話がありました。二十面相は、ぶじ警視庁の地下室へ閉じこめましたから、ご安心くださいって。」
それを聞くと、少年たちのあいだから「ワーッ」という歓声があがりました。そして、みんなはおどりあがるようにして叫ぶのでした。
「少年探偵団ばんざあい……。」
「チンピラ別働隊ばんざあい……。」
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