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「ねぎの花のように」

时间: 2017-07-27    进入日语论坛
核心提示: きっかけは、近所の奥さん達(たち)との立ち話だった。 その日、ご主人と喧嘩(けんか)をしたという一人が、愚痴をこぼし始
(单词翻译:双击或拖选)
  きっかけは、近所の奥さん達(たち)との立ち話だった。
 その日、ご主人と喧嘩(けんか)をしたという一人が、愚痴をこぼし始めた。すると、もう一人の奥さんも、つられたように辛(つら)い経験を話す。年齢的に、男性上位の時代を生きてきた方々だ。理不尽な話も多く、同情したくなる。しかし、この奥さん達のすごいところは、辛い経験を話しても、最後は笑い話に替えてしまうところ。その姿はたくましく、私も頑張って生きなければならないと、力を貰(もら)う。
 二人は、私に喫茶店を開業しなさいと、口を揃(そろ)えて言う。家の近くで、どこか息抜きできる場所が欲しいらしい。田んぼばかりのこの地域で、先祖から引き継いだ農地と日々格闘している私に、喫茶店の開業はどう考えても無理である。もちろんそれを承知の上での夢話だと思うが、息抜きの場に喫茶店を求める奥さん達が、とても素敵(すてき)だった。
 漂うコーヒーの香り、流れる音楽、綺麗(きれい)な器や珍しい装飾品、異空間のかもしだす雰囲気に浸る幸福感が、心をいやしてくれる。そして、なんといっても、寡黙にコーヒーを入れながらも、居心地を良くしてくれるマスターが居ることが一番。いくつになっても、時にはそういう場に身を置きたい気持ちは消えない。
 若い頃は、あまり地域の方々と話すことも無かったが、この頃は違う。私も積極的に会話をするようになった。声を出し自分を語り、また、人の話を聴くことで元気になってくる。それはきっと、そこに必ず笑いがあるからに違いない。
 喫茶店開業の話は、その後も妙に尾を引き、やがて月に一度くらいなら、母屋と別棟のわが家の離れを、息抜きの場に出来るのではないかと思うようになってきた。そして、誰もが気軽に集える場にしたいと、夢が膨らみ始めた。
 しかし、それを行動に移すには、問題があった。長年心の隅に抱えてきた、地域に対する悲観的しがらみだ。それを振り切るための自分との戦いがあった。
 悶々(もんもん)としながら日をおくっていたが、考えてばかりでは進展しない。思い切って「喫茶店があれば…」と言った奥さん達に相談した。わが家の迷惑にならないかと心配しながらも、喜んで賛同してくれた。色々なわだかまりが溶け始め、心の中が軽くなってきた。
 この地域も高齢化率は上昇し、高齢者だけの家族も多い。年々、行動範囲も狭くなっているに違いなかった。そんな人達が、すぐ近くに息抜きできる場があれば、自宅から一歩出て、少しは気分転換できるかもしれない。みんなの顔を見て、おしゃべりするだけでも良いではないか。
 そう意気込み、早速地域の方々に離れに集まってもらった。あらかじめ、私の思いを伝えていたものの、「女性部や老人クラブが有るではないか」「公民館だってある」などと、否定的な意見が出るのではないかと、内心とても不安だった。大先輩の女性達は、どう受け止め、やって来たのだろうか。
 賛同してくれた奥さんが口火をきり、話し合いが始まった。ことの成り行きを見守りながら、集まった一二人分のインスタントコーヒーを入れていると、「これはとっても良いことだと思うけれど、私は高齢なので、当番になっても皆さんのお世話はできないですよ」と、八〇歳代の女性が言う。家では、常にご主人の面倒をみている方なので、ここに来てまで人の世話をしたくなさそうな話し方だ。だが、「とても良いこと」という言葉が出た。この方も、やっぱり息抜きしたいのだ。本音で話してくれたことが、なんだかとても嬉(うれ)しかった。しかしその発言後、誰もが共感したように口を重くし、暗いムードになり始めた。
 この時、私には強い味方がいた。その方に、もし離れで活動が始まることになったなら、一緒にお世話を願いしたいと相談し、了承を得ていたのだ。その方と私の二人で、世話人を引き受けることを提案した。空気は一転して明るくなり、月に一度の集まりが決まった。
 集まりの名前は、「ねぎの花の会」と決定した。ねぎの花は、いつまでも長く咲くことから縁起が良く、天皇の輿(こし)の屋上に金の装飾として用いられているという。私達も、いつまでも凛(りん)とした花を咲かせ、前向きに生きて行こうとの想(おも)いを込めている。
 活動が始まり、まもなく一年になる。喫茶店には程遠い空間だが、マイカップと一〇〇円玉を握りしめ、みんながやって来る。地域というくくりの中に、みんなと一緒の居場所が有ることでもたらす、安心感のようなものもあるのだと、みんなを見ていて教わった。
 「来て良かった。家に爺(じい)ちゃんとだけ居たら、こんなに笑わないよ」「お世話になりました。またくるからね」と、誰に言うでもなく飛び交う帰り際のみんなの賑(にぎ)やかな声が、嬉しい。
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