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「親子のキャッチボール」

时间: 2017-09-03    进入日语论坛
核心提示:『聞きたくない。』国際結婚をすると告げた私に父は予想通りの反応をした。私も反発して別に祝って貰わなくて結構だと言い放った
(单词翻译:双击或拖选)
『聞きたくない。』
国際結婚をすると告げた私に父は予想通りの反応をした。私も反発して別に祝って貰わなくて結構だと言い放った。
父は野球が好きで地元の少年野球団の監督をしており、自らも草野球チームのエースである。一方私は大の運動嫌い、専ら家で読書をしていた。父の期待を踏みにじり、買って貰ったグローブを雨の中外に置き去りにした事もある私とは対象的に弟はスポーツ少年に育った。私は父が弟ばかり気にかけていると感じ、遂に大学で一人暮らしを始めるまで父の前で素直になれなかった。そうして出来た深い溝を時折感じては父は私を誤解していると悲しんだものだった。
大学時代を私は世界中を放浪して過ごした。そんな私をずっと心配してくれたのは母だった。父には黙って旅に出ていたが、母は父に全て話していたらしい。
その後私が商社に内定した時、父は私を行きつけの居酒屋に連れていった。最後まで野球の話をぽつぽつと話すだけだったが、常連客から『息子さんと飲めるなんて幸せだね。』と囃されると嬉しそうにしていた。
徐々に解れた親子の糸は、私が大学時代に出会ったカンボジア人女性と結婚すると決めたことで再び拗れてしまった。
母や弟、婚約者のためにも父との関係を修復しなければならない。私はその後再び実家に出向いて父をキャッチボールに誘った。私の投げる玉は父の所まで届くに精一杯だったが、父の玉は私の胸元まで真っ直ぐ飛んできてその度に掌がビリビリと痺れた。
最初に口を開いたのは父だった。
『お前のやりたいようにやれ。お前より年上の人間なんて先に死んじまうんだから、周りの理解ばかり求めんでいい。その代わり親より先に死ぬな。』
私が返事をするより先に弟が来て『仲良しじゃんか。』と嬉しそうに言ってきた。
私はボールを投げ返しながら『親子だからな。』と言ってみた。
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