主婦という名の隠れみのに身を包み
すきあらばとピンクの爪をとぐ
秘密販売人の存在に。
田舎者の私などさしずめ絶好のカモ
一杯のコーヒーを飲み終わらぬうちに
巧みな話術のとりこになる。
そっと抱きしめていた小さな秘密
きらめくような大きな秘密を
ぜんまい仕掛の人形みたいに話してしまう
女豹のしなやかさで襲われたことさえ気づかずに
さあ それからの彼女は大忙し
売り出しは早いにこしたことはない
小さな秘密は赤いリボンで飾って
大きな秘密はもっと大きく見えるよう上げ底をして
利口すぎる女や
男勝りの女はお呼びでない
暇すぎる女や
おしゃべり好きな女は上得意様
秘密を買った女達はいそいそと隣の家の戸をたたく
新しい秘密販売人の誕生だ
彼女等は玉ころがしの糞のように増えてゆく
でもいつになったら気付くのだろう
手のひらからこぼれ落ちていったやさしいものに。