微笑ながら
夢野原へ手招きする
大木を離れた木の葉のように
わたしは ひらひら舞いながら
風を追いかける
束の間の生―
生い茂った夏草の吐息の中を
縫うように
あなたの口笛が
駆け抜ける
踏みしめる大地もなく
見上げる大空もなく
確かなことの何一つない夢野原で
あなたの傍にいる確かさを
信じよう
白いカップに注がれた
熱いコーヒーに
頬を寄せれば
覚えてしまったすべての言葉が
揺れながら消えていく
風よ
わたしは もう戻れない