パンティストッキングを
左足からするするとはぎ取って
私から私を解放する
いちにち
閉じ込められていたものがほどけて
新しい空気を吸い込む
窓を開ければ
かすかな雨の匂い
とけるような安堵感が
あふれてくる夕まぐれ
強い自分だと思っていた
人々から離れても
生きてゆける自信があった
群れの中の自分など
絶対否定をしつづけていた
けれど今
ざんげに似た思いが
あふれてくる
テーブルの上のマスカットひとつぶ
手のひらに乗せ
傲慢な自分を一緒にころがしてみる
誰かの隣に存在することで
意味のある人間でありたい
誰かの存在で自分の存在がつながっている
そんな意味のある
人間でありたい
思いあがりの頂点で
私は自分で自分の足にけつまずく
そして
自分の存在を見つめている