からだを灰にして
灰のなかから仏像をつくる
寺のならわし
こちらの世では見知らぬ人々が
あちらの世では手をとりあい
ひとつになって
美しい仏の姿を写し出す
生者はいつも
みえるかたちをたよりに
生きているから
手にふれるものをたのみに
生きているから
あなたは仏の
重いまぶたのおくで
善とか 悪とか
識別もせず
半眼の虚空にただよう
仏の両肩のなだらかな稜線を
鳥たちの足場に与え
この世のさえずりを懐かしむ
そのてのひらに
わたしの祈りをのせて
かつて生あるとき
あなたはいつも同じ処にはいない
つねにわたしの思いの先にいた
仏のからだに住まう 今
あなたは いつもそこにいて
わたしの思いと共に
いてくださる
*恩師?辻正弘氏への鎮魂