小さな手で影のように私と手をつなぎ
くぐり抜けてきたいくつかの門
あの小さき者はそうだ
もう一人の私自身だったのかも知れない
手を広げればいつでも弾丸となり駆けて来た
抱きあげた腕の中の小さな私自身
ぬくもりは手のひらから甘えた唇から鼓動から柔らかな肌から、切れない絆の群れとなって私達をつなぎ続けてきたけれど
おまえの中に私をはめ込んできたのかも知れないし私の型の中におまえを押し込んできたのかも知れない
(よく似てますね。親子さん)
なんて言われると、おまえは必ず笑ってくれたものだ
私は私のクローンだとほくそ笑んだりしたものだけれど…
子供はいつ親を越えたのか
手のひらを離れ
親を越えて行く子を捕えたりはできない
きっと美しいものへと変身する為に
おまえは私を蹴飛ばして行くのだろう
私はまだ容認するという
本当の美しさを知らないのかも知れない
私は私の母とへその緒でつながり
そして又おまえともへその緒で繋がっている
なんと明瞭なつながりだろう
明確な証拠は身体のまん中にペタと押印され
のぞき込む度に子宮の中にいた時の
羊水のうねりなどを思い出したりする
おまえはスカートの裾を翻えしては手を振る
もう迷っているはずはないのに行け行け行け
ふり向くなそれ以上、おまえの海は近い
子供はいつ親を越えたのか
伸ばしそうな両手を必死で押さえ
どうしてなのだろう私、潮の香りに
涙ぐむ