耳をそばだてる
聞きとれない程の
物音の先に
明けていく朝がある
癒してくれたのは 何だろう
離れてしまったのは なぜだろう
山から吹く風は
森を鳴らして降りてくる
沢を落ちる滝の音が
風に乗っている
わたしは一人ぼっちじゃなかった
ねじれてゆく五感は
すれ違うたび
溝がゆっくりと広がって
もう
木の橋も掛けられないまでに
記憶の川を越えた向こうには
染まりゆく 夏色のせせらぎ
七夕の夜 抱きしめた願い
少し気だるそうに吹く風にさえ
わたしは 溶けだしていく
闇夜に落ちる瞬く間に
駆け出したあぜ道のにおい
いつも手を差し伸べて
わたしを抱きしめてくれた貴方
大切に飾っていた
幼いわたしが描いた鮮やかな花とともに
感謝と祈りを
無事に
天国へ行けましたか