※ 今回紹介する内容は、諸説ある中の1つです。
■ よく聞く名字の由来
◎ 佐藤さん
最も有力な説とされているのが、平将門を滅ぼした藤原秀郷の子孫である左衛門尉(さえもんのじょう)公清が名乗り始めたというものです。佐藤の「佐」は、左衛門尉という職名の「左」から、藤原の子孫であることから「藤」をとって、「佐藤」と称したといわれています。「佐」は、現在の栃木県にあたる下野国の荘園名であった「佐野庄」がルーツである、ともいわれています。
◎ 鈴木さん
最有力説といわれているのが、お祭りの際に使われる稲穂が原点というもの。なんでも、稲穂を積み上げたものを紀州弁で「すすき」というそうで、その言葉が「鈴木」の語源となっているといわれています。他の説では、神社の拝殿に使用される本坪鈴(ほんつぼすず)が由来であるとしているものもあります。
◎ 高橋さん
「高橋」の由来は、地名の「高橋」が由来になっていると考えられています。「高橋」の地名は、天地を結ぶ高い柱という意味があり、祭祀の1つの聖域の目印だったようです。こうした理由から、神社と関係が深い「高橋さん」が発生し、全国へ「高橋」という氏名が広まっていったといわれています。
◎ 田中さん
「田中」の由来は、日本経済の基本であった米であるといわれています。米は、貨幣経済が浸透する前は貨幣代わりの存在だったため、米は全国的に作られていました。一般的に、家の周りに水田を作っていたことから、水田の中心に住んでいる「田中」となったと考えられています。「田中」の名字は、古事記にも記載されているほど古来から存在したようです。
◎ 伊藤さん
藤原秀郷の子孫である尾藤基景が、現在の三重県にあたる伊勢に伊勢守として住み、「伊勢」の「尾藤」の略である「伊藤」を称したことが由来となっているといわれています。ここから「伊藤さん」は伊勢北部を中心に発展し、濃尾平野全体に広まったようです。
◎ 山本さん
語源は、「山のふもと」や「山のふもと」に住むという意味なんだそう。山は、古くから神が降りてくる場所として信仰の対象とされてきました。山のふもとに人が集まり、集落を作り始めたことが「山本」の由来となっているといわれています。こうした関係性から、「山本」を名乗る人々には神官も数多くいたといいます。
◎ 渡辺さん
発祥は、現在の大阪府にあたる摂津国です。嵯峨天皇の皇子である嵯峨源氏の子孫が天皇家と疎遠になり、宮廷から離れた後に武士となってこの地に住み着き、「渡辺」を名乗ったことが由来とされています。語源は、大阪淀川の渡しのある場所であるといわれています。
■ 自分のルーツに思いを馳せてみよう
名字の由来を語源などから探ってみると、多くが自然や土地をルーツとして持っていることが分かります。「私のご先祖様は神官だったのかも…」と想像するのも楽しいですよね。こうした豆知識を会話の中でさりげなく披露できると知性的にみえます。今回は、よく見かける名字を中心に取り上げましたが、この機会に他の名字も調べてみてはいかがですか?