■「まつ毛」に関する“都市伝説”、出身地・年代によっても認知率に違いが
「これまでに聞いたことがある“まつ毛に関する都市伝説・ウワサ”」について聞いた結果、日本では、全国各地においてまつ毛に関する様々な都市伝説やウワサが飛び交っていることが明らかになった。
【アクション系都市伝説篇/○○をするとまつ毛が育ちやすい?】
・まつ毛の先端を切ると伸びる・・・78人
・まつ毛にリップクリームを塗ると伸びる・・・47人
・まつ毛の根元を刺激すると伸びる・・・25人
・水虫の薬の副作用でまつ毛が濃くなる・・・9人
【環境系都市伝説篇/ ○○な環境・状況ではまつ毛が育ちやすい?】
・ホコリっぽい所に住んでいるとまつ毛が長くなる・・・85人
・エロティックな人はまつ毛の伸びが早い・・・14人
・恋愛中はまつ毛が伸びる速度が早まる・・・12人
・まつ毛はあたたかい季節によく育つ・・・11人
【ネガティブ系都市伝説篇/○○な状況ではまつ毛に悪影響がある?】
・季節の変わり目はまつ毛が抜けやすい・・・83人
・子供のころによく目をこすっていると、まつ毛が少なく・短くなる・・・77人
・睡眠不足が続くと、抜けたまつ毛が生えづらくなる・・・24人
・まつ毛のケアが不十分だとダニが繁殖することがある・・・21人
まず、“○○をするとまつ毛が育ちやすい”などの「アクション系都市伝説」を集めたところ、「まつ毛の先端を切ると伸びる」という情報が、最も認知率が高いという結果に。ちなみに、この回答をした女性たちを出身地別に見てみると、特に北日本(北海道・東北)地域に多く、同エリアでのウワサ認知率は4人に1人(27%)にのぼっている。北の地域では、比較的メジャーなウワサと言えるかもしれない。また、年代別にみると 20代の認知率が特に高く31%にのぼり、40代の認知率(7%)と比較して大きな差がみられた。
続いて“○○な環境・状況ではまつ毛が育ちやすい”といった 「環境系都市伝説」を調べたところ、「ホコリっぽい所に住んでいるとまつ毛が長くなる」というウワサが最も認知度が高いことがわかった。こちらは特に、中部地方出身者による回答が多く、同エリアの30%と3人に1人がこのウワサを聞いたことがあるようだ。
さらに、ポジティブな内容だけではなく、“○○な状況ではまつ毛に悪影響がある”という「ネガティブ系都市伝説」も探ってみたところ、最も多かったのは「季節の変わり目はまつ毛が抜けやすい」で83人が回答。特に、北日本・東日本(北海道・東北・関東)出身者による回答が多く、同エリアでのウワサの認知率は25%にのぼっている。年代別にみると、20~30代ではそれぞれ約3割の認知率(20代:28%、30代:26%)、40~50代では1割台の認知率(40代:12%、50代:17%)となり、若い世代のほうが耳にしたことが多い情報のようだ。
■まつ毛美容液開発担当に聞く「まつ毛の都市伝説」の真実
「都市伝説」の真相について、アンファー株式会社エイジング研究所研究員の中本万里子氏は以下のように説明する。
●まつ毛の先端を切ると伸びる?
今回の調査では、「まつ毛の先端を切ると伸びる」というウワサの認知率が高いという結果になりましたが、残念ながらまつ毛をカットしても成長に影響ありません。短い毛が伸びていく様子をじっと観察することで長くなったと錯覚しているのかもしれません。また、太くなったと感じるのも、「体毛を剃ると濃くなる」という俗説と同じで、毛の断面が斜めにカットされると面積が大きくなるためです。カットしても、生え変わりのサイクルに応じて元に戻りますが、異物から目を守るというまつ毛本来の機能が損なわれるだけでなく、短い毛が目元にささって痛みを感じたり、光がまぶしく感じるようになりますので、絶対にやめましょう。
●まつ毛にリップクリームを塗ると伸びる?
育毛成分は入っていませんが、保湿によってまつ毛の育毛環境を整えることはできるので、効果がないことはありません。しかし万が一目に入った場合、粘度の高い油分を使っているので洗い流しにくいですし、メントールなどの成分が刺激になるので、おすすめしません。
●まつ毛の根元を刺激すると伸びる?
血行を促進すると発毛環境は良くなる傾向にあると考えられますが、毛の根元を刺激しても、成長には影響しません。まつ毛は60%が退行期・休止期にあり、「抜けるのを待っている状態」なので、刺激を与えようとしてひっぱったりすると、逆に抜ける本数が増えてしまう場合があるとも考えられます。
●ホコリっぽい所に住むとまつ毛は伸びる?
「ホコリっぽい所に住んでいるとまつ毛が長くなる」というウワサも認知度が高いようですね。まつ毛の本来の役割は、目の中にホコリなどの異物が入るのを防ぐことなので、理にかなっているように感じますが、残念ながら科学的根拠はありません。
同じく「空気が汚いと鼻毛が伸びる」という現象も実は科学的なデータはありませんが、鼻毛は鼻粘膜の湿度を保ち、呼吸の際に体内に異物が侵入しないための重要なフィルターの役割を果たしますので、まつ毛よりも可能性は高いかもしれません。
●恋愛中はまつ毛が伸びる?
『恋をすると女性ホルモンが活発に分泌されて、肌や髪がつややかになる』という話はよく耳にします。実感されている方が多いので、何らかの影響はあると思いますが、これも直接的に証明された知見はほとんどありません。まつ毛も毛ですので、同様のことが言えます。女性ホルモンエストロゲンに、頭髪を維持する働きがあることは良く知られています。頭髪と異なり、まつ毛はホルモンの影響をそれほど受けない部位ですが、出産後にまつ毛が一気に抜けたという事例はよくありますので、女性ホルモンと全く関係ないとは言えないと考えています。ですが一方で、恋をすると、まつ毛を鏡で見る機会が増えたり、メイクをきちんと落としたり、スキンケアを丁寧におこなったりと生活行動に変化のある女性も多く、これによりまつ毛にもよい効果を与えているなどはあるかもしれません。
●まつ毛はあたたかい季節によく育つ?
「まつ毛はあたたかい季節によく育つ」「季節の変わり目はまつ毛が抜けやすい」という回答も多くみられました。頭髪の季節変動は諸説あり、「気温が高くなると成長速度があがる」「初秋に抜け毛が増える」などの報告があります。まつ毛も同じ毛ですので同様の事象が現れる可能性はありますが、科学的根拠は現在のところありません。季節の変わり目はまつ毛が抜けやすいという説も同様に科学的根拠はありませんが、夏は海やレジャーで、ウォータープルーフマスカラやエクステ・つけまつ毛をする機会が普段より多いのではないかと思います。そのダメージで、夏から秋にかけてはまつ毛が抜けやすいと感じる方が多いのかもしれません。
●ケアが不十分だと、まつ毛にダニが繁殖する?
「アイメイクをきちんと落とさないと、まつ毛にダニが繁殖する」というウワサは事実に近いです。肉眼では見えませんが、ヒトの顔面には「Demodex(デモデックス)」と呼ばれるダニが寄生しており、これは健康な人でも検出されます。しかしこのダニが、皮脂の過剰分泌や不衛生環境が原因で増殖すると、ニキビなどの炎症の原因になる可能性があります。近年、目元の炎症がこのダニによって引き起こされる事例が多発しており、まつ毛エクステや濃いアイメイクのオフ不足による不衛生環境が原因と考えられます。まつ毛に白っぽいフケがあったり、痒みがある方は病院へ行きましょう。そして日常では、専用のリムーバーを使用してしっかりアイメイクを落としましょう。
●子供のころによく目をこすっていると、まつ毛が少なく・短くなる?
これも科学的根拠はありません。目の表面を傷つけたり、結膜炎など疾病の原因にもなりかねないので、目はこすらないようにしましょう。
●睡眠不足が続くと、抜けたまつ毛が生えづらくなる?
毛を成長させる成長ホルモンの分泌は睡眠中に起こりますので、十分考えられます。それどころか、髪や肌、身体機能にも影響が及びますので、睡眠はしっかりとりましょう。
●水虫の薬の副作用でまつ毛が濃くなる?
少数派ですが、こんなまつ毛の噂を聞いたことがある人もいました。このウワサに、根拠はまったくありません。水虫の薬は殺菌効果を目的としたもの。また足に塗布するために作られた薬を敏感な目の周りに使うのは言語道断です。必ず専用のケア用品を使うようにしましょう。