千葉県松戸市の「介護用品 愛ショップ」が展開するサービスは「愛SOSネットワークシステム」。靴の中敷きに厚さ約1・2センチ、重さ約30グラムのGPS端末を埋め込み、位置情報などをスマホやタブレット端末で確認でき、自宅から50メートル以上離れるとメールで知らせる。
かかとの部分に重さ約30グラムのGPS端末を収納。専用サイトの地図に位置が表示され、自宅から50メートル以上離れるとメールで通知する。同社取締役の久保吉伸さん(49)がかつて、奈良市で3日間にわたり若年性認知症の男性の捜索に参加したのが開発のきっかけで「行方が分からなくなると周囲の人が疲弊する」と靴に着目した。現在は黒1色しかないため、久保さんは「他の色をそろえたり、デザインを改良したりしたい」と意気込む。問い合わせはカスタマーセンター(0120・17・4192)。
前橋工科大の原川哲美教授(システム生体工学)が開発を進めているのが、マットに置くだけで充電できるGPS端末付きのシューズ。通常は電池が最長3、4日間程度しか持たないため、そのたびに充電する必要があった。スマホなどで利用されている「非接触型充電」の技術を応用し、マットに置くだけで充電が始まる。原川教授は「介護施設で試験をしており9月にも商品化したい」と話す。
福岡県大牟田市の介護施設職員らでつくる「市認知症ライフサポート研究会」の大谷るみ子代表(58)は「さまざまな器具が開発されれば、当事者や家族が外出しやすくなる。高価なのがネックで、介護保険や自治体の補助対象になれば利用が進むのではないか。ただあくまで補助器具であり、行政などとともに見守り態勢を整えることが必要だ」と指摘した。