日本腎臓学会の2008年の推計によると、国内の慢性腎臓病患者は1300万人。15年末時点で32万人以上が人工透析を受けている。
血液中の老廃物を濾過(ろか)して尿を作る組織「ネフロン」の数は、腎臓1個あたり約100万個あるとされてきた。しかし研究チームによると、その数は20万~200万個と人種などで差が大きいとわかってきたという。チームは国内の健康な人、高血圧、慢性腎臓病の各9人、計27人の腎臓を調べた。推計すると、健康な人は平均64万個。高血圧患者は39万個、慢性腎臓病患者は27万個だった。欧米人の平均90万個と比べ大幅に少なかった。
日本人の腎機能が弱いのは、体格、腎臓ともに小さいためとみられる。塩分の多い食事でより負担がかかる。神崎さんは「ネフロンの数は出生時に決まっている。近年増加傾向の低体重で生まれる赤ちゃんが特に心配だ。生活習慣に気をつけ、腎機能を継続的に調べる必要がある」と言う。