知的能力や集中力が高い半面、社交は苦手とされる「ギーク」(おたく、マニア)の傾向は、男の子の場合、父親の年齢が高いほど強くなるとの研究結果が発表された。
研究チームによれば、ギークは一般的に社交は苦手だがずば抜けた知性を持つ人を指す言葉。肯定的な意味で使われることが多い。チームは12歳の双子7781組を対象に、非言語式の知能検査の結果と限定的、反復的な行動、対人関係への関心の低さを点数化して「ギーク指数」を出した。
その結果、ギークと判定された子の57%は、この傾向を親から受け継いでいることが分かった。
特に男の子のギーク指数は、その子ができた時の父親の年齢が35歳を超えると明らかに高くなり始めるという。父親が51歳以上の時にできた男の子は、父親が25歳未満の時の子に比べ、理系分野で高得点を取る確率が32%も高かった。
一方、女の子のギーク指数と父親の年齢との間に目立った関連性は見つからなかった。
研究をまとめた共同執筆者の1人、米マウントサイナイ医科大学シーバー自閉症研究センターのマグダレナ・ジャネッカ博士によると、この研究では女の子のギークの定義が十分に把握されていなかった可能性がある。あるいは、女の子にはギークの傾向を打ち消すような生物学的な特性が備わっているとも考えられるという。
過去の研究では、親の年齢が高いと子どもの自閉症や統合失調症が多くなるとの可能性が指摘されてきた。ジャネッカ博士は「高年齢の父親が罪悪感に悩まないよう、この研究のようにプラス面を示すことは重要だ」と話す。
ジャネッカ博士の説によれば、ギークの傾向は親から受け継がれる場合と、父親の精子で起きる突然変異によって現れる場合が考えられる。
高齢の父親には子どもを早く持つ男性と比べ、学問や仕事に没頭していた期間が長かったり、社交があまり得意でなかったりするギーク傾向がみられることも多い。また、精子の突然変異は年齢が高いほど起きやすくなる。
2001年の研究で父親の年齢と子どもの重度統合失調症の相関関係を示したニューヨーク大学のドロレス・マラスピナ博士は、ジャネッカ博士らの研究について「父親の年齢が高くなると突然変異の確率は上がるかもしれないが、必ずしも悪い突然変異ばかりではないことが指摘された。その主張に私も同意したい」と話している。