昆明を出る日の朝、例の共同トイレに行ってみると、便器の後ろ側の床の上に先人の出した大きなものが転がっており、アツアツなことを証明する元気な湯気がホンワカと立ち上っていた。
おまえな~~(涙)。いったいどういう狙い方をしたらこの広い便器から外れて床の上に着地するんだよっっ(号泣)!!! 馬鹿者っっ!!!
たしかにな、これは「トイレでショックを受けた国ツートップ」の片割れのエチオピアではよく見た光景だよ。でもあの国は便器が無くて小さな穴が空いてるだけだったんだよ。それに比べて、ここには和式便器(と同じ形のもの)があるじゃねーか。これだけの広い標的があってミスるとは何事だっっ!!! 前後にも左右にも十分な動きしろがあるだろうがっっ!!! これだけ広けりゃ座頭市でも便器内にしっかり収めて用を足せるんだよっっ!!!!
……しかし。これはひょっとして、どちらかというと中国人ではなく旅行者のものだったりするのではないだろうか? オレは日本を背負って立つ者として諸外国から投げかけられたこの難題から逃げてはいけないと、塊の前で便所の床にどっかと座り、自分でなんとか○んちをひねり出そうと集中を始めた。深呼吸して……精神統一して……。
ポク、ポク、ポク、ポク、ポク、ポク、ポク…………、チーン! ひらめいた!! この床に転がる粗相(そそう)の謎が解けたぞ!
……え? 何をやっているんだって? そりゃあ、謎を解くためにとんちをひねり出していたんだよ。決まってるじゃないか。なんだと思ってたのあんた?