三江併流は、4000万年前に形成された。インド亜大陸プレートとヨーロッパアジア大陸プレートが激しくぶつかり、横断山脈の急激な押し出し、上昇、切断を引き起こし、高山と大河が交差した結果、この地域は世界で最も豊富な地質地形の博物館となった。
この区域内には雪山が横たわっており、標高の変化に伴い植物もも垂直分布である。760mの怒江干熱谷川から6740mの卡瓦格博(梅里雪山カワクボ)峰にかけて、高山峡谷、雪峰氷河、湿原高原、森林芝生、淡水湖、希有動物、貴重な植物といったものが集まっている。また、標高5000m以上で、それぞれ形が異なる雪山は118もある。雪山の周辺には、静かな原始林が林立し、氷の浸食による湖も多く広く分布している。標高6740mに達する梅里雪山の主峰である卡瓦格博(カワクボ)峰は万年氷河に覆われ、透明で澄んだ氷河は頂上から標高2700mの明永村森林地帯まで下っており、現在、世界で最も壮大で稀な低緯度低標高の季節風海洋性現代氷河である。千百年来、チベット族の人たちは梅里雪山を神聖な山と見なし、登山者は足を踏み込むべからずというタブーを厳守している。また、麗江老君山には中国で最大の面積で、完全な形を保ちながら発達してきた丹霞地形奇観が分布している。原始林の中のその様子は目を奪われるほど美しい。中には、紅色の岩石の表面に風の浸食により亀裂構造を形成したものも多い。
この三江併流は、世界の生物遺伝子の倉庫と称えられている。この地域は第四紀氷河期の大陸氷河に覆われなかったことに加え、地域内の山脈がすべて南北方向であるため、最も豊富で集中したヨーロッパアジア大陸の生物群落になった。高等植物が210余種、1200余属、6000以上であり、中国の国土面積の0.4%しかを占めていないにもかかわらず、中国の高等植物と高等動物の種目はそれぞれ20%と25%以上を有している。現在、この地域に滇キンシコウ、カモシカ、ユキヒョウ、バングラディシュ虎、黒頸鶴など絶滅の危機に瀕する国家級保護動物77種類と禿杉、桫楞、紅豆杉など国家級保護植物34種が生息している。
また、生息している生物も多く、例えば哺乳類動物173種、鳥類417種、爬虫類59種、両性類36種、淡水魚76種、蝶類昆虫31種がいる。これらの動物の総数は全中国の25%に達している。これは中国だけでなく、北半球ひいては全世界においても唯一である。
更に、この地域は16の民族の集中居住地でもある。同時に世界でも稀に見える多民族、多言語、多宗教信仰と風俗習慣が共存する地域である。長期にわたり、三江併流地域はずっと科学者、冒険家と旅行者の憧れの地であった。彼らはこの地域の顕著な科学的価値、美学的意義と少数民族の独特な文化を高く評価している。
美学的見地から見れば、金砂江、瀾滄江と怒江の平行に続く峡谷が、この地域の顕著な自然特徴を表している。この3本の大河は切断面がちょうどこの地域の境界の外側に位置し、大河の峡谷が主要な風景となっている。地域内では、どこでも高山を見ることができ、中でも、梅里雪山、白馬雪山と哈巴雪山は、壮観な空中風景の輪郭を作っている。閩咏卡氷河は人の目を引く自然景観で、標高は6740mの卡瓦吉布山から2700mまで続く。北半球において、このような低緯度(北緯28゜)にあることから、標高の最も低い氷河と言われている。他に優れている地形は、例えば、氷河岩溶(特に怒江峡谷の上方にある月山風景内の月石)とアルプス式丹霞風化層「亀の甲」などが挙げられる。三江併流の地域は世界的に見ても生物の多様性が最も豊富な地域であり、北半球生物景観の縮図でもある。この地域は中国生物多様性保護の17の重要地域のうちトップである。また、世界級の種の遺伝子倉庫と中国三大生態種の中心の1つである。
2003年6月に世界遺産に登録された。