楊貴妃(よきち) (熊本県天草市)
楊貴妃が中国から逃れてたどり着いた地
熊本県天草市にある旧新和町。毎年十一月には、二日間にわたって「しんわ楊よう貴き妃ひ祭り」を開催している。
この新和町には、「楊貴妃」と書いて「よきち」と読む地名が実在し、そこには観音様が祀まつられている。古くから、楊貴妃にまつわる伝説が言い伝えられているのだ。
楊貴妃伝説とは、その昔、中国から逃れてきた楊貴妃が竜りゆう洞とう山ざんの麓に住んでいたという伝説である。
あるとき、楊貴妃は村に流行した疫病に苦しむ人々に、自分がもっていた薬「楊貴湯」を飲ませて救った。最初は名を名乗らなかったが、その後、楊貴妃は自らの身の上を村人たちに明かし、彼らと親しくなっていった。
だが、そんなある日、雷とともに龍があらわれ、楊貴妃を連れ去ってしまった。
それ以来村人たちは、楊貴妃の住んでいた場所を「よきち」と呼んで楊貴妃をしのんだという。
新和町は、天草下島の東海岸に位置する、温暖な気候と素晴らしい自然に恵まれた土地である。豊かな自然と長い歴史に育まれた町民性は純朴で、人情味あふれる豊かな町だ。
その昔、かの楊貴妃も、きっと癒されたに違いない。