四万十川(しまんとがわ) (高知県)
「四万川」「十川」をはじめ、たくさんの支流が落ち合う川
「四万十川」の源流は、その河口のほぼ真北、高知と愛媛の県境にある不入いらず山やまにある。石灰岩地帯の四国カルスト台地、天狗高原などの東端近く、四国山地の一角、一一九〇メートルの地点から、大小三〇〇余りの支流を集めて蛇行をつづけ、太平洋へと注いでいる。
名前の由来はまさに、この支流の多さにちなんだもので、一八五八(安政五)年、江戸時代に書かれた『幡は多た郡紀行』には、「四万十川といふ事は数流落集るが、中にも津野山郷の四万川と十川と流れ合ふを以てかく云へるとぞ」と書かれている。実際、四し万まん川と十とお川は現在も、四万十川の上流にある支流である。
また、アイヌ語の「シ・マムタ」が語源で、「たいへん美しい川」という意味だとする説もあるようだが、実際にアイヌ民族が生活したという痕跡などは確認されていない。
ところで、川の名称は、有名かつ一般的な四万十川以外に、「渡わたり川」という呼び方もあった。前者は、国土地理院の地図で表記されたものだが、後者は建設省(現・国土交通省)での呼び名である。だが、全国的にも四万十川で有名になったため、一九九五(平成七)年に、四万十川で統一されたのだという。
ちなみに、四万十川は、河口までの全長が一九六キロ、流域面積は二二七〇平方キロに達する。四国では、もちろんいちばん長い川となっている。