すると山や川が震動し、国中が揺れたのでした。
これを聞いたアマテラスは驚き、
「弟が高天原に来るのは、きっと善い心からの行動ではないわね。私の国を奪うためじゃないかしら…」
と考えました。
アマテラスは長い髪を梳いてみずら(写真参照)に結って男装し、髪全体にも両手にも勾玉(まがたま)をたくさん通した紐を巻き付け、千本もの矢が入る靫(ゆぎ?矢を携帯するための筒状の容器)を背負って、五百の矢が入る靫も脇に抱え、手首には威勢のよい音がする鞆(とも?矢を放ったあと弓の弦が腕に当たるのを防ぐブレスレット)をはめ、弓を振り立て、地面を脚がめり込むくらいに踏みしめ、土を淡雪のように蹴散らかし、荒々しい態度でスサノオを待ち受けました。