「そのヤマタノオロチというのは、どんな見た目なのだい?」
「目玉はホオズキみたいに真っ赤で、ひとつの身体に八つの頭と八つの尻尾が付いています。身体には苔やらヒノキやらスギの木まで生え、体長は谷を八つ、峰を八つ渡るほども長くて、腹は血がにじんでいます」
それを聞いたスサノオは、こう切り出しました。
「…あなたの娘さんを、俺にくれないかい?」
老父は、
「…恐縮ですが、あなたさまのお名前をお聞かせください」
と尋ね返します。
「私はアマテラスの弟です。たった今しがた、天から降りて来ました」
それを聞いたアシナヅチとテナヅチは、
「それはなんと畏れ多いこと! 謹んで差し上げます」
と答えたのでした。