「もしや門の外に誰かいるの?」
「泉の木の上に人が座っていました。これがまたイケメンでして。ご主人のワタツミ様以上にステキな人でした。
彼が水を欲しがったのでさしあげたところ、水を飲まずにこの玉をペッと吐き出したのです。しかも取ろうにも取れないのです。だからそのまま持って参りました」
トヨタマヒメはおかしな話だと思って、外に出てみました。そして山幸彦の姿を見た瞬間、一目惚れしてしまったのでした。
そして父のワタツミに向かって、
「門のところにイケメンがいます」
と言いました。
ワタツミも門まで見に行き、
「この人は高天原の神の子で、天と地上の世界の間に存在する神であるぞ」
と言って、すぐに彼を御殿の中に連れて入りました。