そうこうするうちにワタツミの娘のトヨタマヒメ(豊玉毘売)の召使が、玉のように輝く綺麗な器を持って泉に水を汲みにやって来ました。召使は泉の水面にキラキラしたものが映っているのを見て、何かしらと思って見上げました。するとそこには美しい男性の姿が。召使は怪訝に思いました。
山幸彦は召使を見て、
「水をください」
と言い、召使は器に水を汲んで差し出します。
しかし山幸彦は水を飲みません。それどころか身に着けていた首飾りを外すと、その玉をひとつ口にポイッと入れて、器の中にペッと吐き出したのでした。
するとびっくり、玉がピタッと器の底にくっついて、取れなくなってしまったのです。
仕方なく召使は玉がくっついたままの器を、トヨタマヒメのところへ持って行きました。