日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 馳星周 » 正文

不夜城(34)

时间: 2018-05-31    进入日语论坛
核心提示:34 夏美はジーンズに青いタイ・シルクのブラウスにパンプス姿だった。左の肩からルイ・ヴィトンを下げ、ブラジャーをつけてなか
(单词翻译:双击或拖选)
 34
 
 
 夏美はジーンズに青いタイ・シルクのブラウスにパンプス姿だった。左の肩からルイ・ヴィトンを下げ、ブラジャーをつけてなかった。おれの肘に押しつけられた乳房の頂点が固くしこっているのがわかった。故郷に戻った話をした時の興奮がそこに留まっているのだ。
「車を取ってきてくれ」
 さりげなく夏美の腕を外し、キィを渡した。
「運転はできるんだろう?」
「ワイン、飲んじゃったけど」
「自信がないのか?」
 夏美は大きくかぶりを振った。
「健一は用心深いから、飲酒運転なんか絶対しないと思って」
「ここに持ってくるだけだ。あとはおれが運転する」
 おれはにやりと笑って答えた。夏美はしこめば使いものになるかもしれない。
 車を駐めてある場所を教えると、夏美は小走りで駆け去った。夏の夕暮れの日の光にシルクが透け身体の線が浮かびあがっていた。そのラインの美しさを充分堪能してから、傍らにある電話ボックスへ入った。
「はい、『カリビアン』っす」
 呼びだし音が二度鳴らないうちに志郎が出た。
「おれだ」
「あ、健一さん。なんかあったんすか?」
 おれの置き手紙を読んだはずだが、志郎の声は間抜けみたいに落ち着き払っていた。
「ちょっとヤバいことになってる。店を開けるのはおまえの勝手だけど、気をつけろよ」
「えー、マジっすか? やっべぇなぁ」
「そんなことはないと思うが、もしおっかない中国人におれのことを聞かれたら、知ってることを正直に話すんだぞ」
「どこにいるんすか?」
「池袋だ。ホテルを取ってる。しばらくはそこにいるけど、用がある時は携帯を鳴らせ」
「わっかりました。あの……健一さんがいない間の売り上げなんすけど……」
 おれは舌打ちしたいのをこらえた。これが中国人なら、店の備品を全部売り払って、いまごろはどこかに消えているはずだ。
「手紙に書いたとおりだ。経費以外は全部おまえが取っていい」
「ありがとうっす。あの……」
「おれに連絡はないか?」
「メッセージなしの留守電が四時ごろ入ってたのと、ついさっき、組合の周さんから電話がありました」
「なんだって?」
「会いたいって。なんか、怒ってるみたいでしたけど」
「わかった。じゃあ、頑張ってな」
 志郎がなにかいいかける気配がしたが、かまわず受話器をおろした。周天文《チョウティエンウェン》からの電話というのが気になった。組合というのは、歌舞伎町でまっとうな商売をしている連中の集まりだ。正式には歌舞伎町華人商店組合という。マスコミで歌舞伎町の流氓が取りあげられるようになり、堅気の中国人までもがマフィア同様に見なされる風潮に歯止めをかけるというのが設立目的の組合で、楊偉民の息がほんのわずかだがかかっている。
 おれはうろ覚えの組合本部の番号をプッシュした。若い女の声が下手な日本語で組合の名を告げ、おれが北京語で周を出してくれというと、一瞬間があったあとで、これまた流暢《りゅうちょう》な北京語で少々お待ちくださいといった。
「周天文」
 少々どころか五秒もたたないうちに天文が出た。四六時中なにかに尻を追われているような早口は相変わらずだ。
「おれだよ、小文《シャオウェン》。電話をくれたそうだが」
「もう子供じゃないんだから小文はよしてくれよ。それよりどうだ。これから飯でも食わないか?」
「生憎だな。たったいま晩飯を食いおわったところだ」
「お茶でもいいよ。とにかく、どうなってるのかを聞かせてもらいたいんだ」
「どうなってるって、なにが?」
「とぼけるなよ、兄さん。呉富春と元成貴のことに決まってるじゃないか」
「富春? あいつは新宿を出たっきりだろう」
「ふざけるなよ! 兄さんが元成貴に脅されて呉富春を探してることは知ってるんだ」
 クラクションが聞こえた。ボックス越しに道路に視線をやると、BMWの窓を開けてこっちに手を振っている夏美と目が合った。
「小文、おまえ、何か握ってるのか?」
「小文はやめろって。おれはなんにも知らないよ。ただ、組合の連中から商売にならないからなんとかしてくれって泣きつかれてるだけさ。で、兄さんから話を聞けば、対応策が見つかるかなって……」
「楊偉民に聞けばいい。おれよりはずっと知ってるぜ、きっと」
「爺さんに借りをつくりたくはないんだよ。わかってるだろう!?」
 おれはわざとらしいため息を受話器にふきかけてやった。気安めにもならなかった。天文がそれぐらいのことで怯むはずはない。
「わかった。歌舞伎町はマズい。中野まで出てこれるか?」
「いいよ。中野だろうが大阪だろうがどこへでも行くよ」
 天文の声が二オクターブほど跳ねあがった。おれは顔をしかめながら、中野ブロードウェイの二階にある喫茶店の名を告げ、一時間後にそこでといって電話を切った。
 BMWは道路の反対側に停まっていた。夏美は助手席に座っていた。
「だれと電話してたの?」
 おれが運転席に乗り込むと、夏美は飼い主の帰りを待っていた犬のように目を輝かせて聞いてきた。
「古い知り合いだ。気になるのか? 女じゃないぞ、残念ながら」
「別に。ただ、怖い顔で電話してたから気になっただけ」
「だれにだって弱点はあるんだ」
 BMWのアクセルを踏みながらおれはいった。周天文は確かにおれの弱点だった。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%