エレベータの扉が閉まると同時に夏美がむしゃぶりついてきた。喘《あえ》ぐような息を吐き出しながらおれの唇を吸い、自分から舌を差し入れてきた。不自然な体勢のまま夏美の乳房を乱暴に揉《も》みしだいてそれに応《こた》えた。
鈍痛を伴った快感が股間に集中しはじめたとき、やっと夏美が唇を離した。
「だいじょうぶ?」
「少し痛いが、役にはたつと思う。今、試してみるか?」
「馬鹿」
夏美は軽くおれの股間を手でさすって、甘えるような目つきでおれを見た。
「ここじゃなくって、額の傷」
「ああ、なんともない。もう、血も止まってるだろう」
「そう……一時はどうなることかと思ったけど、よかった。これから帰って、する?」
首を振った。
「いろいろと動かなきゃならない。明日の夜まで我慢してくれ」
「なんだ。つまんないの」
夏美は不貞腐れたように唇を尖らせて背中を向けた。だが、形のいいヒップがおれの股間に押しつけられていた。
「いいわ。我慢してあげる」
エレベータが静かに停止し、扉が開いた。勢いよく外に飛び出ようとした夏美の脚がなにかに張りついたようにぴたっと止まった。
夏美の肩越しに、崔虎《ツイフー》のにやついた笑い顔が広がっていた。
「よお、長い会合だったな」
崔虎は笑ったままおれを手招きした。