ある晩、リサはベッドに寝ていて、疲れから腕一本動かせないので、あれこれ考えてまだ眠れないでいました。それで、肘で夫のわき腹をつついて、「ねえ、レンツ、今考えていることを聞いて。もし1フローリン見つけて、1フローリンもらって、それに足してもう1フローリン借りて、あんたがもう1フローリンくれるとすると、4フローリンをまとめてすぐ若い雌牛を買うわ。」と言いました。
夫はこの話がとても気に入りました。それで、「実際、お前がおれからもらいたがっている1フローリンをどこから手に入れたらよいかはわからないよ。だけど、そのお金をまとめて雌牛を買えるなら、お前の計画を実行するのにうまいやり方だよね。」と言い、「嬉しいだろうな、もしその雌牛が子牛を産んだらさ。おれもときどき元気づけに一杯ミルクを飲めるだろう。」と付け加えました。
「ミルクはあんた用じゃないわ。子牛が大きく太くなるように子牛に吸わせなくちゃならないんだから。そしたら子牛を売れるでしょ。」と女は言いました。
「そうだね、だけど、それでも少しはおれたちもミルクを飲めるだろ。それでも全く差し支えないよ。」と男は答えました。
「誰があんたに牛の管理の仕方を教えたんだい?差し支えがあろうとなかろうと、そんなこと許さないの!あんたが逆立ちしたってミルクは1滴もやらないからね。のっぽのローレンス、あんたは満足できないから、あたしがすごく苦労して稼いだものを全部食っちまう気でいるのかい?」と女は言いました。
「黙れ、そうしないと口をなぐるぞ!」と男は言いました。「何だって!脅かすのかい!この大食らいの人でなしの怠け者のハリーめ!」と女は叫びました。
リサは夫の髪につかみかかろうとしていました。しかしのっぽのローレンスは立ち上がって、やせっぽちのリサの干からびた両腕を片手でつかみ、もう一方の手で頭を枕に抑えつけ、リサにガミガミ言わせたまま抑えていました。とうとうリサはとても疲れ果てて眠ってしまいました。次の朝目覚めたときリサが喧嘩の続きをしたかどうか、見つけたいと思っていたフローリンを探しにでかけたかどうか、私は知りません。