一番上の息子はペテロと言い、出かけて行ってもう長い道のりを歩いていました。まる一日旅をして、大きな森に入りました。ペテロは森を抜ける道を探しましたが、見つからなくて、だんだん奥へ迷い込み、それと同時にとてもお腹がすいてきて、もう立っていられなくなりました。とうとうとても弱って横になるしかありませんでした。そしてもうすぐ死ぬだろうと思いました。突然ペテロのそばに、明るく光り輝き、天使のようにきれいでやさしい小さな男の子が立っていました。子供がその小さな手をパンパンとうちあわせたので、とうとうペテロは顔を上げて子供を見ました。すると子供は、「どうしてそんなに困った顔で座っているの?」と言いました。「ああ」とペテロは答えました。「僕は日々の糧を求めて、世間を渡り歩いているんだ。約束されている救世主に会うためにね。それが僕の一番の望みだよ。」子供は、「僕と一緒に来て。そうすればあなたの望みがかなえられますよ。」と言いました。
子供はかわいそうなペテロの手をとり、崖の間の大きなほら穴に連れて行きました。ほら穴に入ると、すべてのものが金、銀、水晶で輝いていて、その真ん中に12個のゆりかごが並んでいました。それからその小さな天使が言いました。「最初のゆりかごに横になり、少し眠りなさい。私が揺らしてあげます。」ペテロはいう通りにしました。天使はペテロが眠るまで歌を歌い、ゆりかごを揺らしました。ペテロが眠っていたとき、二番目の息子も守護天使に導かれてそこにやってきて、最初の息子のように揺られて眠りました。こうして、つぎつぎと他の兄弟もやってきて、ついに12人全員が金のゆりかごで眠りました。ところで、兄弟は、世界の救世主が生まれる夜まで、300年眠ったのです。それから兄弟は目覚め、この世で救世主と一緒になり、12使徒と呼ばれました。