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【若紫篇】垣間見(二)

时间: 2014-06-16    进入日语论坛
核心提示:◆ 垣間見  (二) 尼君、「いで、あな幼や。言ふかひなうものしたまふかな。おのがかく今日明日におぼゆる命をば、何とも思
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◆ 垣間見 
 
(二)
 尼君、「いで、あな幼や。言ふかひなうものしたまふかな。おのがかく今日明日におぼゆる命をば、何とも思(おぼ)したらで、すずめ慕ひたまふほどよ。罪得(う)ることぞと、常に聞こゆるを、心憂く」とて、「こちや」と言へば、ついゐたり。面つきいとらうたげにて、眉(まゆ)のわたりうちけぶり、いはけなくかいやりたる額つき、髪(かん)ざし、いみじううつくし。ねびゆかむさまゆかしき人かなと、目とまりたまふ。さるは、限りなう心を尽くしきこゆる人に、いとよう似たてまつれるが、まもらるるなりけりと思ふにも、涙ぞ落つる。
 
 尼君、髪をかきなでつつ、「けづることをうるさがりたまへど、をかしの御髪(みぐし)や。いとはかなうものしたまふこそ、あはれに後ろめたけれ。かばかりになれば、いとかからぬ人もあるものを、故姫君は、十ばかりにて殿に後れたまひしほど、いみじうものは思ひ知りたまへりしぞかし。ただ今おのれ見捨てたてまつらば、いかで世におはせむとすらむ」とて、いみじく泣くを見たまふも、すずろに悲し。幼心地にも、さすがにうちまもりて、伏し目になりてうつぶしたるに、こぼれかかりたる髪、つやつやとめでたう見ゆ。
 
  生ひ立たむありかも知らぬ若草を後らす露ぞ消えむ空なき
 
またゐたる大人、「げに」とうち泣きて、
 
  初草の生ひゆく末も知らぬ間にいかでか露の消えむとすらむ
 
と聞こゆるほどに、僧都(そうづ)あなたより来て、「こなたはあらはにやはべらむ。今日しも端におはしましけるかな。この上(かみ)の聖(ひじり)の方に、源氏の中将の、瘧病(わらはやみ)まじなひにものしたまひけるを、ただ今なむ聞きつけはべる。いみじう忍びたまひければ知りはべらで、ここにはべりながら、御とぶらひにもまうでざりける」とのたまへば、「あないみじや。いとあやしきさまを人や見つらむ」とて簾(すだれ)下ろしつ。「この世にののしりたまふ光源氏、かかるついでに見たてまつりたまはむや。世を捨てたる法師の心地にも、いみじう世の愁へ忘れ、齢(よはひ)延ぶる人の御ありさまなり。いで御消息(せうそこ)聞こえむ」とて立つ音すれば、帰りたまひぬ。
 
(現代語訳)
 
 尼君が、「何とまあ、若紫は幼いことよ。聞き分けもなくいらっしゃること。私がこのように、今日明日にも知れなくなっている命を何ともお思いにならず、雀を追いかけていらっしゃることよ。生き物を閉じこめるのは罪を得ることですよと、いつも申し上げていますのに、情けないこと」と言って、「こちらへ、いらっしゃい」と言うと、若紫はちょこんと座った。顔つきがとても可愛らしげで、眉のあたりがほんのりとして、子供っぽく髪を掻き上げた額つきや、髪のぐあいも大変に可愛らしい。「成長して行くようすを見たい人だなあ」と、源氏のお目がおとまりになる。それと言うのも、限りなくお慕いしているあの藤壺の方に、とてもよく似ているので、目が引きつけられるのだと、思うにつけても源氏は涙が落ちる。
 
 尼君は、若紫の髪を撫でながら、「髪を梳くのをお嫌がりになるけど、美しいお髪だこと。ほんとうに子供っぽくいらっしゃるのが、かわいそうで気がかりです。これくらいの年になれば、もっとしっかりした人もありますものを。亡くなった母君は、十歳で父君に先立たれなさった時は、それはよく物がお分かりになっていらっしゃいましたよ。たった今、私があなたを残して逝ってしまったら、どうやって生きていかれるのでしょう」と言って、たいそう泣くのをご覧になると、源氏も何とも言えず悲しい。子供心にも悲しく思うのだろう、尼君の顔をじっと見て、やがて伏し目になってうつむいたところにこぼれかかった髪が、つやつやとして美しく見える。
 
 尼君が、「これからどこでどう育って行くのかも分からない若草のようなあなたを残してゆく、露のようにはかない私は消えようにも消えていく空がありません」
 
 もう一人の座っている女房が、「本当に」と、涙ぐんで、
 
 「初草のように若い姫君のご成長もご覧にならないうちに、どうして露は消えようとなさるのでしょうか」
 
と申し上げているところに、僧都が向こうからやって来て、「ここは人目につくのではないでしょうか。今日に限って、端近にいらっしゃいますね。この上の聖の坊に、源氏中将が瘧(おこり)病のまじないにいらっしゃったのを、たった今、聞きつけました。ひどくお忍びでいらっしゃったので知りませんで、ここにおりながら、お見舞いにも上がりませんでした」とおっしゃると、尼君は、「まあ大変。たいそう見苦しいさまを、誰か見たでしょうかしら」と言って、簾を下ろしてしまった。僧都が、「今、世間で評判の高い光源氏を、この機会に拝見なさいませんか。私のような俗世を捨てた法師の気持ちにも、まったく世の憂いを忘れ、寿命が延びるほどのごようすの方です。どれ、源氏の君にご挨拶を申し上げよう」と言って、立ち上がる音がするので、源氏はお帰りになった。
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