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白夜行5-8

时间: 2017-01-17    进入日语论坛
核心提示: 唐沢雪穂は約束の時刻よりも五分ほど遅れて現れた。彼女に向かって一成は小さく手を上げた。すぐに彼女は気づいて近づいてきた
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 唐沢雪穂は約束の時刻よりも五分ほど遅れて現れた。彼女に向かって一成は小さく手を上げた。すぐに彼女は気づいて近づいてきた。
「遅くなってすみません」と彼女は謝った。
「大丈夫、俺も今来たところだから」
 ウェイトレスが来たので、雪穂はミルクティーを注文した。平日の昼間ということもあり、ファミリーレストランの中はすいていた。
「わざわざ来てもらって、すまなかった」
「いえ」雪穂は小さく首を振った。「でも、電話でもいいましたけど、江利子のことでしたら、あたしの口からはまだ何もいえないんです」
「それはわかっている。たぶん大きな秘密を抱えているんだろうね」
 彼の言葉に、雪穂は目を伏せた。長い睫《まつげ》だった。部員の中には、彼女をフランス人形のようだという者もいるが、もう少し目が丸ければそのとおりだと彼も思った。
「でも、それは俺が何も知らない場合のみ、意味をなす対応策じゃないのかな」
 えっ、と彼女は顔を上げた。その顔を見て、彼はいった。
「写真が送られてきたんだよ。匿名で、しかも速達で」
「写真?」
「こんなもの、君に見せたくはないんだけど」一成は上着のポケットに手を入れた。
「待ってください」雪穂があわてて叫んだ。「それは、あの……トラックの荷台の?」
「そう。場所はトラックの荷台の中だ。写っているのは」
「江利子?」
「そう」一成は頷いた。全裸姿で、という説明は省いた。
 雪穂は口元を手で覆った。今にも泣き出しそうな目をしたが、ウェイトレスがミルクティーを運んできたこともあり、何とかこらえてくれた。一成は安堵した。こんなところで泣かれたら、収拾がつかなくなる。
「君もこの写真を見たの?」と彼は訊いた。
「はい」
「どこで?」
「江利子の家で、です。彼女のところに送られてきたんです。びっくりしました。あんなひどい格好で……」雪穂は声を詰まらせた。
「何てことだ」一成はテーブルの上で拳を固めた。掌に脂汗が湧いた。
 気持ちを落ち着けるため、窓の外に目を向けた。外は、しとしとと細かい雨が降り続いていた。まだ六月には入っていないのだが、梅雨入りはしたのかもしれない。彼は初めて江利子を美容院に連れていった時のことを思い出した。あの時も雨が降っていた。
「話してくれないか。一体何があったんだ」
「何があったって……つまりそういうことです。そういうことがあったんです。突然襲われて……」
「それだけじゃわからない。場所はどこなんだ。いつの話なんだ」
「場所は、江利子の家の近くです。襲われたのは……先々週の木曜日です」
「先々週の木曜……間違いないね」
「間違いありません」
 一成は手帳を取り出し、カレンダーで日付を確認した。思ったとおりだった。最後に電話をくれた日の翌日だ。洋服を買いに行くといっていた日だ。
「警察には届けたのか」
「いえ」
「どうして?」
「大騒ぎして、このことが世間に知れ渡ったら、そっちのほうがよっぽど痛手だって江利子の御両親が……。あたしも、そう思います」
 一成は拳でテーブルを叩いた。苛立つ話だが、両親たちの気持ちは理解できた。
「俺や江利子のところに写真が送られているということは、犯人は通りすがりの人間じゃないぜ。それはわかってるのか」
「わかります。でも誰があんなひどいことを……」
「心当たりはある」
「えっ?」
「一人だけね」
「それは、もしかすると」
「そう」とだけ一成はいい、雪穂の目を見返した。それで彼女も理解したようだ。
「まさか……だって、女の人がそんなことを」
「男を雇ったんだよ。そういう卑劣なことができる男をね」
 一成は、先週の金曜日に、正体不明の男から電話があったことを雪穂に話した。
「電話の後にすぐ例の写真を見たものだから、俺はすぐに両者を結びつけて考えたわけだよ。それから、電話の男が妙なことをいってたことも思い出した。ダンス部の部費は香苗が管理しているんだろう、という意味のことだ」
 雪穂が息を止める気配があった。「犯人に渡す金に、部費を使ったってことですか」
「信じがたい話ではあるけれど、確認してみることにした」
「倉橋さんに、直接お訊きになったんですか」
「さすがにそれはできない。でも方法はある。口座番号はわかっているから、銀行に問い合わせて、そういう出金があったかどうかを調べればいい」
「でも通帳は倉橋さんが持っておられるんでしょう?」
「それはそうだけど、いろいろと手段はあるんだ」
 一成は言葉を濁した。実際には、家に出入りしている三協銀行の人間に、無理をいって頼んだのだ。
「で、その結果だけど」一成は声をひそめた。「先々週の火曜日に、十二万円の金がカードで引き出されている。さらに今朝確認したところでは、今週はじめにも十三万円が下ろされていた」
「だけどそれは倉橋さんが下ろしたとはかぎらないんじゃないですか。ほかの人かも」
「調べたかぎりでは、ここ三週間、彼女以外の人間はカードに触れてもいない。最後に触ったのは君だよ」そういって彼は雪穂の胸元を指差した。
「帳簿の計算を江利子がやらされた時ですね。あの二、三日後に、帳簿とカードを倉橋さんに渡したんですけど」
「それ以来、カードは彼女が持ち続けている。決まりだよ。彼女が男を雇って江利子を襲わせたんだ」
 雪穂は、ふうーっと長い息を吐いた。「とても信じられません」
「俺だって同感だよ」
「だけどそれは篠塚さんの推理ですよね。証拠はないんですよね。口座のことにしても、たまたま同額の出金があったというだけかもしれないじゃないですか」
「こんな不自然な偶然ってあると思うかい? 俺は警察に届けるべきだと思う。警察が本気になって調べれば、きっと尻尾《しっぽ》をつかまえられる」
 しかし雪穂がこの考えに同調する意思のないことは、その顔つきから明らかだった。果たして彼がいい終わると彼女は口を開いた。
「最初にいいましたように、江利子の家では、大騒ぎになることを望んでいないんです。そんなふうに警察沙汰にして、仮に誰が悪いのかがはっきりしたとしても、江利子の傷は癒されないということです」
「だからといって、このままほうってはおけない。俺の気が済まない」
「それは」といって雪穂は一成の目を見つめてきた。「それは、篠塚さんの問題じゃないですか」
 この言葉に一成は一瞬返す言葉をなくした。息をのみ、雪穂の整った顔を見返した。
「今日、あたしがここへ来たのは、江利子からのメッセージを伝えるためでもあったんです」
「メッセージ?」
「さようなら、楽しかったです、ありがとう――それが彼女からの言葉です」事務的な口調で雪穂はいった。
「ちょっと待ってくれ、一度彼女に会わせてくれ」
「無茶いわないでください。彼女の気持ちを少しは考えてあげてください」雪穂は立ち上がった。ミルクティーは殆ど口をつけられていない。「こんな役目、本当は全然やりたくなかったんです。でも彼女のためだと思って、我慢して引き受けました。あたしの気持ちもわかってください」
「唐沢……」
「失礼します」雪穂は出口に向かって歩きだした。だがすぐに立ち止まった。「あたしはダンス部を辞めません。あたしまで辞めると、彼女が気を遣うから」そして改めて歩き始めた。今度は止まる気配はなかった。
 彼女の姿が見えなくなると、一成はため息をつき、窓の外に目をやった。
 雨は相変わらず降り続いていた。
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