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探偵ガリレオ 第二章 転写る 03

时间: 2017-12-28    进入日语论坛
核心提示:       3  研究室のいつものドアに貼ってある行き先表示板には、湯川学が在室していることを示すマグネットがくっつけ
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 研究室のいつものドアに貼ってある行き先表示板には、湯川学が在室していることを示すマグネットがくっつけられていた。それを確認してから彼はドアを二度叩いた。どうぞ、という声が中から聞こえた。
 ドアを開けると同時に、ぽん、という何かを軽く叩くような音が左方でした。音のしたほうを見ると、浮き袋ほどの大きさの白い煙の輪が、ゆっくりと彼に向かって空中を移動しているところだった。
「おっ」草薙は一瞬たじろいだ。
 もう一度、ぽん、という音がした。同じ方向から、先程と同じような白い輪が漂ってきた。蚊取線香の匂いがする。
 目が慣れてくると、薄暗い部屋の隅に大きな段ボール箱が置いてあるのが見えてきた。箱の正面には直径十数センチの穴が開けられている。そして箱の横には、白衣の袖を肘《ひじ》の上までまくりあげた、湯川学が立っていた。
「歓迎のノロシだよ」そういって段ボール箱の後ろを、ぽんと叩いた。
 箱の前面に開けられた穴から、白い煙の固まりが吹き出してきた。それはたちまちドーナツ形になり、草薙のほうへ向かった。
「なんだ、それ。どういう仕掛けになっているんだ」煙の輪を片手で払いのけながら草薙は訊いた。
「仕掛けなんてないさ。箱の中に蚊取線香を入れてあるだけだ。煙が充満した頃を見計らって箱を軽く叩いてやれば、いくつでも煙の輪を生み出すことができる。君たち愛煙家の中には、口から輪を吐いて喜んでいる輩《やから》がいるが、まああれと同じだ。全く、流体というのは、興味深い現象を見せてくれるもんだよ。世間でいわれている不思議な現象のいくつかは、流体の悪戯《いたずら》だろうというのが僕の説でね」湯川は壁のスイッチを入れた。薄暗い室内に、蛍光灯の光が満ちた。
「その調子で、俺が抱えている不思議な話を解決してくれると助かるんだがな」草薙はいった。
 湯川はスチール椅子に腰かけた。
「今日はどういう不思議な話を持ってきたんだ? 亡霊でも出たのかな」
「いいセンだな」草薙は持ってきたスポーツバッグを開け、透明プラスチック容器に入った品物を取り出した。「亡霊のマスクだよ」
 容器の中の金属製のマスクを見て、湯川は片方の眉を上げた。
「拝見しよう」彼は右手を伸ばした。
 
 アルミだな、と湯川はマスクを手にするなりいった。
「それだけは、俺でも最初に見た時からわかったぜ」草薙は鼻を膨らませた。
「まあ、それぐらいのことは小学生にもわかるだろう」湯川はあっさりといった。「で、これがなぜ亡霊のマスクなんだ?」
「それがおかしな話でさ」
 草薙は姪《めい》の中学校での出来事を話した。物理学教室の助教授は、椅子にもたれ、両手を頭の後ろに回し、目を閉じて聞いていた。
「で、このマスクの主は、その行方不明の男だったわけかい?」
 一通りの話を聞いたところで湯川は質問した。
「まあね」と草薙は答えた。「どうやら、そう考えて間違いないようだった」
「どうしてそれが確認できた?」
「死体が見つかったのさ」
「死体?」湯川は身体を起こした。「見つかったというと、その、何といったかな」
「ひょうたん池からさ」草薙はいった。
 死体が引き上げられたのは、三日前のことだ。柿本進一の妻昌代と妹良子の、マスクの主は進一に違いないという主張に基づき、警察がひょうたん池の捜索を行ったところ、数時間後に発見されたのだった。
 死体は腐敗がひどく、衣類も持ち主を限定できる状態にはなかった。だが歯の治療跡などから、柿本進一に間違いないと断定されるまでに、時間はかからなかった。
「なぜ死体の顔の型が、池に落ちていたんだ」と湯川は眉間に激を寄せて訊いた。「しかも金属製の型が」
「それがわからないから、ここへ来たんだよ」
 草薙の言葉に、湯川は鼻をふんと鳴らし、中指で眼鏡を少し押し上げた。
「僕は霊媒師じゃないぜ。もちろん、過去に戻れるタイムトラベラーでもない」
「だけど、このマスクの正体を明かすことはできるだろ?」草薙は金属マスクを取り上げた。「これについてわからないことが二つある。一つは、どうやって作ったか。もう一つは、なぜ犯人はこんなものを作ったか、ということだ」
「犯人?」湯川は眉を寄せた。それから学生時代からの友人の顔を見つめ、ゆっくり首を縦に動かした。「なるほど。他殺でなければ、捜査一課の刑事が血相を変えることもないわけだったな」
「頭蓋骨側頭部が陥没していた。かなり重量のある固い鈍器で、しかも力いっぱい殴られたと考えられる」
「犯人は男か」
「あるいは、腕力のある女だな」
「マスクの主には妻がいるといったな。その女はどうだい。真犯人は身近にいる、しかも女、というのは推理小説のセオリーだが」
「小柄で、非力そうな女だ。彼女には無理だと思うね。まあ、容疑者リストから無条件で外すつもりはないけどさ」
「女房が旦那を殺して死体を池に捨てたが、思い出のためにデスマスクを作り、それに使ったアルミ製の型も捨てたというのなら、一応筋が通るんだがね」
 湯川は草薙の手から金属マスクを受け取り、改めて観察し始めた。軽口を叩いてはいるが、目が科学者のものになっていた。
「どうやって作ったか、それだけでも推理してくれるとありがたいんだけどな」湯川の手元を見ながら草薙はいった。
「一応警察でも検討はしてみたんだろう?」
「鑑識の連中に相談して、いろいろとやってみたさ」
「たとえば?」
「まず最初に試したことは、同じように薄っぺらいアルミの材料を持ってきて、直接人の顔に押しつけるという方法だ」
「面白いな」湯川は、にやにやした。「で、結果はどうだった?」
「全然だめだった」
「そうだろうな」湯川は小さく吹き出した。「そんなことで顔の型がとれるなら、蝋《ろう》人形師たちの手間も、大幅に省けるだろう」
「どう慎重にやっても、顔の肉が変形してしまう。極端なことをいうと、ストッキングをかぶったような顔の型しか取れない。それで、こう考えた。生きている人間の顔だから、うまくいかないんじゃないか、とね。死体ならうまくいくんじゃないか」
「死後硬直するからな」湯川は頷いた。笑いを顔から消していた。
「実際の死体を使うのはさすがに抵抗があったんで、別の事件の時に復顔した模型を使って実験してみた。すると今度は、それらしきものはできた」
「それらしきもの?」
「顔の型らしきもの、という意味だよ。残念ながら、そんなに見事なものはできなかった」草薙は湯川の手にある金属マスクを指した。「具体的には、それほど細部の凹凸が正確には出せなかった。もっと薄い材料、たとえばアルミ箔のようなものを使えばできないことはないが、その厚みの材料では難しい」
「アルミ箔で作っていたら、現在もこの形を保ち続けていたかどうかは怪しいね」
「とにかく、強くて、しかも完璧に均等な力を、アルミ材料に加え続けることが必要だろうというのが、鑑識の意見だった」
「同感だな」湯川は金属マスクを机の上に置いた。「製造法については、そこで暗礁に乗り上げたわけか」
「まあ、そういうことだ」草薙は頷いた。「どうだい。物理学教室の湯川先生でも、やっぱりお手上げかい?」
「そんな挑発に乗るほど、僕は単純じゃないぜ」湯川は立ち上がり、ドアの横にある流し台のところへ行った。「さてと、コーヒーでも飲むかい?」
「俺は結構。どうせインスタントなんだろ」
「インスタントコーヒーを馬鹿にしてもらっては困るね」湯川は、相変わらずあまり奇麗に洗っているとは思えないマグカップに、安物のコーヒー粉を入れ始めた。「製法について、うんざりするほど多くの試行錯誤がなされている。あまり知られていないことだが、最初に商品化されたインスタントコーヒーは、日本人が開発したものだ。この時にはドラム乾燥法という方法が使われた。まあ、早い話がコーヒー抽出液を単純に乾燥させただけだ。その後マクスウェル社が噴霧乾燥法を開発して、インスタントコーヒーの味は格段に向上し、消費も伸びた。さらに七〇年代に入って真空冷凍乾燥法が登場し、現在の主流となっている。どうだい、一口にインスタントコーヒーといっても、なかなか奥が深いだろう?」
「そうはいっても、インスタントはちょっとね」
「どんなものでも、簡単には作れないということをいいたいのさ。アルミのマスクでも、インスタントコーヒーでも同じことだ」湯川はマグカップに湯を注ぎ、スプーンでかき回した後、立ったままでコーヒーの匂いをかぐ格好をした。「いい香りだ。科学文明の匂いがする」
「このマスクからは、その匂いがしないのかい?」草薙は机の上を指した。
「するね。ぷんぷんと」
「だったら――」
「二、三、質問がある」マグカップを持ったまま、湯川はいった。「そのひょうたん池というのは、どういう池だ。どんなところにある?」
「どういう池といわれても……」草薙は顎をこすった。「山の麓にある、ふつうの小さな池だ。ゴミがいっぱい捨ててあって、汚いというのが特徴といえなくもない。周りは草むらで、近くにはハイキングコースなんてのもある。そこらへん一帯が自然公園ということになっているんだ」
「猟は行われているかい」
「リョウ?」
「狩猟のことだ。猟銃を持ったハンターが、うろうろしてるってことはないのか。それも散弾銃ではなく、ライフルのほうだ」
「ライフル? 冗談だろ」草薙は笑った。「あんな小さな山に、そんなものを使わなきゃならないような獲物がいるわけない。動物園からライオンが逃げたという話も聞かないな。とにかく、あそこじゃ猟は禁止だ」
「そうか、やっぱりな」湯川は真剣な顔つきでコーヒーを啜《すす》った。どうやら冗談でライフルのことを訊いたわけではなさそうだった。
「なんだ、ライフルがどうかしたのか。さっきもいったけど、死体は側頭部が鈍器で殴られていて――」
「いや、わかっている」湯川はカップを持っていないほうの手で、草薙を制した。「死因のことをいってるんじゃない。マスクの製造法について考えているんだ。だけど、どうやらライフルは関係ないようだ」
 草薙は途方に暮れた気分で、やや変わり者の友人を見上げた。この男と話していると、時折、自分がひどく血の巡りの悪い人間のように思えることがあるのだった。今も、なぜここにライフルの話が出てくるのか、全く見当がつかなかった。
「一度、見に行くか」湯川が、ぽつりといった。「その、ひょうたん池をさ」
「いつでも案内するぜ」と草薙は応じた。
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