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カーライル博物館(3)

时间: 2021-01-10    进入日语论坛
核心提示: 余は今この四角な家の石階の上に立って鬼の面のノッカーをコツコツと敲(たた)く。しばらくすると内から五十恰好(かっこう)の肥
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 余は今この四角な家の石階の上に立って鬼の面のノッカーをコツコツと(たた)く。しばらくすると内から五十恰好(かっこう)の肥った婆さんが出て来て御這入(おはい)りと云う。最初から見物人と思っているらしい。婆さんはやがて名簿のようなものを出して御名前をと云う。余は倫敦滞留中四たびこの家に入り四たびこの名簿に余が名を記録した覚えがある。この時は実に余の名の記入(きにゅう)(はじめ)であった。なるべく丁寧に書くつもりであったが例に()ってはなはだ見苦しい字が出来上った。前の方を繰りひろげて見ると日本人の姓名は一人もない。して見ると日本人でここへ来たのは余が始めてだなと下らぬ事が嬉しく感ぜられる。婆さんがこちらへと云うから左手の戸をあけて町に向いた部屋に這入る。これは昔し客間であったそうだ。色々なものが並べてある。壁に()やら写真やらがある。大概はカーライル夫婦の肖像のようだ。(うし)ろの部屋にカーライルの意匠に成ったという書棚がある。それに書物が沢山詰まっている。むずかしい本がある。下らぬ本がある。古びた本がある。読めそうもない本がある。そのほかにカーライルの八十の誕生日の記念のために()たという銀牌(ぎんぱい)銅牌(どうはい)がある。金牌(きんぱい)は一つもなかったようだ。すべての(はい)と名のつくものがむやみにかちかちしていつまでも平気に残っているのを、もろうた者の煙のごとき寿命と対照して考えると妙な感じがする。それから二階へ上る。ここにまた大きな本棚があって本が例のごとくいっぱい詰まっている。やはり読めそうもない本、聞いた事のなさそうな本、入りそうもない本が多い。勘定をしたら百三十五部あった。この部屋も一時は客間になっておったそうだ。ビスマークがカーライルに送った手紙と普露西(プロシア)の勲章がある。フレデリック大王伝の御蔭と見える。細君の用いた寝台(ねだい)がある。すこぶる不器用な(かざ)()のないものである。
 案内者はいずれの国でも同じものと見える。()っきから婆さんは室内の絵画器具について一々説明を与える。五十年間案内者を専門に修業したものでもあるまいが非常に熟練したものである。何年何月何日にどうしたこうしたとあたかも口から()(まか)せに喋舌(しゃべ)っているようである。しかもその流暢(りゅうちょう)な弁舌に抑揚があり節奏(せっそう)がある。調子が面白いからその方ばかり聴いていると何を言っているのか分らなくなる。始めのうちは聞き返したり問い返したりして見たがしまいには面倒になったから御前は御前で勝手に口上を述べなさい、わしはわしで自由に見物するからという態度をとった。婆さんは人が聞こうが聞くまいが口上だけは必ず述べますという風で別段()きた景色(けしき)もなく(おこた)る様子もなく何年何月何日をやっている。
 余は東側の窓から首を出してちょっと近所を見渡した。眼の下に十坪ほどの庭がある。右も左もまた向うも石の高塀(たかかべ)で仕切られてその形はやはり四角である。四角はどこまでもこの家の附属物かと思う。カーライルの顔は決して四角ではなかった。彼はむしろ懸崖(けんがい)の中途が陥落して草原の上に伏しかかったような容貌(ようぼう)であった。細君は上出来の辣韮(らっきょう)のように見受けらるる。今余の案内をしている婆さんはあんぱんのごとく()るい。余が婆さんの顔を見てなるほど丸いなと思うとき婆さんはまた何年何月何日を(じゅ)し出した。余は再び窓から首を出した。
 カーライル云う。裏の窓より見渡せば見ゆるものは茂る葉の木株、(みど)りなる野原、及びその間に点綴(てんてつ)する勾配(こうばい)の急なる赤き屋根のみ。西風の吹くこの頃の(なが)めはいと晴れやかに心地よし。

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