日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 夏目漱石 » 正文

カーライル博物館(6)

时间: 2021-01-10    进入日语论坛
核心提示: 声。英国においてカーライルを苦しめたる声は独逸(ドイツ)においてショペンハウアを苦しめたる声である。ショペンハウア云う。
(单词翻译:双击或拖选)

 声。英国においてカーライルを苦しめたる声は独逸(ドイツ)においてショペンハウアを苦しめたる声である。ショペンハウア云う。「カントは活力論を(あらわ)せり、余は(かえ)って活力を(とむら)う文を草せんとす。物を打つ音、物を(たた)く音、物の(ころ)がる音は皆活力の濫用にして余はこれがために日々苦痛を受くればなり。音響を聞きて何らの感をも起さざる多数の人我説(わがせつ)をきかば笑うべし。されど世に理窟(りくつ)をも感ぜず思想をも感ぜず詩歌(しいか)をも感ぜず美術をも感ぜざるものあらば、そは正にこの(やから)なる事を忘るるなかれ。彼らの頭脳の組織は(そこう)にして(さと)り鈍き事その源因たるは疑うべからず」カーライルとショペンハウアとは実は十九世紀の好一対(こういっつい)である。余がかくのごとく回想しつつあった時に例の婆さんがどうです下りましょうかと(うな)がす。
 一層を(くだ)るごとに下界に近づくような心持ちがする。冥想(めいそう)の皮が()げるごとく感ぜらるる。階段を降り切って最下の欄干に()って通りを(なが)めた時にはついに依然たる一個の俗人となり(おわ)ってしまった。案内者は平気な顔をして(くりや)を御覧なさいという。厨は往来(おうらい)よりも下にある。今余が立ちつつある所よりまた五六段の階を下らねばならぬ。これは今案内をしている婆さんの住居(すまい)になっている。隅に大きな(かまど)がある。婆さんは例の朗読調をもって「千八百四十四年十月十二日有名なる詩人テニソンが初めてカーライルを訪問した時彼ら両人はこの竈の前に対坐して互に煙草(たばこ)(くゆ)らすのみにて二時間の間一言(ひとこと)(まじ)えなかったのであります」という。天上に()って音響を(いと)いたる彼は地下に入っても沈黙を愛したるものか。
 最後に勝手口から庭に案内される。例の四角な平地を見廻して見ると木らしい木、草らしい草は少しも見えぬ。婆さんの話しによると昔は桜もあった、葡萄(ぶどう)もあった。胡桃(くるみ)もあったそうだ。カーライルの細君はある年二十五銭ばかりの胡桃を得たそうだ。婆さん云う「庭の東南の隅を去る五尺余の地下にはカーライルの愛犬ニロが葬むられております。ニロは千八百六十年二月一日に死にました。墓標も当時は存しておりましたが惜しいかなその後取払われました」と中々(くわ)しい。
 カーライルが麦藁帽(むぎわらぼう)阿弥陀(あみだ)(かぶ)って寝巻姿のまま(くわ)煙管(ぎせる)逍遥(しょうよう)したのはこの庭園である。夏の最中(もなか)には蔭深き敷石の上にささやかなる天幕(テント)を張りその下に机をさえ出して余念もなく述作に従事したのはこの庭園である。星(あきら)かなる()最後の一ぷくをのみ終りたる後、彼が空を仰いで「嗚呼(ああ)余が最後に(なんじ)を見るの時は瞬刻の(のち)ならん。全能の神が造れる無辺大の劇場、眼に()る無限、手に()るる無限、これもまた我が眉目を(かす)めて去らん。しかして余はついにそを見るを得ざらん。わが力を致せるや虚ならず、知らんと欲するや切なり。しかもわが知識はただかくのごとく()なり」と叫んだのもこの庭園である。
 余は婆さんの労に(むく)ゆるために婆さんの(てのひら)の上に一片(いっぺん)の銀貨を()せた。ありがとうと云う声さえも朗読的であった。一時間の後倫敦(ロンドン)(ちり)(すす)と車馬の音とテームス河とはカーライルの家を別世界のごとく遠き(かた)へと(へだ)てた。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: