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草枕 十(1)

时间: 2021-02-22    进入日语论坛
核心提示:「あの志保田の家には、代々(だいだい)気狂(きちがい)が出来ます」「へええ」「全く祟(たた)りでござんす。今の嬢様も、近頃は少
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 鏡が池へ来て見る。観海寺の裏道の、杉の間から谷へ降りて、向うの山へ登らぬうちに、路は二股(ふたまた)(わか)れて、おのずから鏡が池の周囲となる。池の(ふち)には熊笹(くまざさ)が多い。ある所は、左右から()い重なって、ほとんど音を立てずには通れない。木の間から見ると、池の水は見えるが、どこで始まって、どこで終るか一応廻った上でないと見当がつかぬ。あるいて見ると存外小さい。三丁ほどよりあるまい。ただ非常に不規則な(かた)ちで、ところどころに岩が自然のまま水際(みずぎわ)(よこた)わっている。縁の高さも、池の形の名状しがたいように、波を打って、色々な起伏を不規則に(つら)ねている。
 池をめぐりては雑木(ぞうき)が多い。何百本あるか勘定(かんじょう)がし切れぬ。中には、まだ春の芽を吹いておらんのがある。割合に枝の()まない所は、依然として、うららかな春の日を受けて、()え出でた下草(したぐさ)さえある。壺菫(つぼすみれ)の淡き影が、ちらりちらりとその間に見える。
 日本の菫は眠っている感じである。「天来(てんらい)の奇想のように」、と形容した西人(せいじん)の句はとうていあてはまるまい。こう思う途端(とたん)に余の足はとまった。足がとまれば、(いや)になるまでそこにいる。いられるのは、幸福な人である。東京でそんな事をすれば、すぐ電車に引き殺される。電車が殺さなければ巡査が追い立てる。都会は太平の(たみ)乞食(こじき)と間違えて、掏摸(すり)の親分たる探偵(たんてい)に高い月俸を払う所である。
 余は草を(しとね)に太平の尻をそろりと(おろ)した。ここならば、五六日こうしたなり動かないでも、誰も苦情を持ち出す気遣(きづかい)はない。自然のありがたいところはここにある。いざとなると容赦(ようしゃ)未練(みれん)もない代りには、人に()って取り扱をかえるような軽薄な態度はすこしも見せない。岩崎(いわさき)三井(みつい)を眼中に置かぬものは、いくらでもいる。冷然として古今(ここん)帝王の権威を風馬牛(ふうばぎゅう)し得るものは自然のみであろう。自然の徳は高く塵界を超越して、対絶の平等観(びょうどうかん)無辺際(むへんさい)に樹立している。天下の羣小(ぐんしょう)(さしまね)いで、いたずらにタイモンの(いきどお)りを招くよりは、(らん)を九()き、を百(けい)()えて、(ひと)りその(うち)起臥(きが)する方が遥かに得策である。余は公平と云い無私(むし)と云う。さほど大事(だいじ)なものならば、日に千人の小賊(しょうぞく)(りく)して、満圃(まんぽ)の草花を彼らの(しかばね)培養(つちか)うがよかろう。
 何だか(かんがえ)()に落ちていっこうつまらなくなった。こんな中学程度の観想(かんそう)を練りにわざわざ、鏡が池まで来はせぬ。(たもと)から煙草(たばこ)を出して、寸燐(マッチ)をシュッと()る。手応(てごたえ)はあったが火は見えない。敷島(しきしま)のさきに付けて吸ってみると、鼻から煙が出た。なるほど、吸ったんだなとようやく気がついた。寸燐(マッチ)は短かい草のなかで、しばらく雨竜(あまりょう)のような細い煙りを吐いて、すぐ寂滅(じゃくめつ)した。席をずらせてだんだん水際(みずぎわ)まで出て見る。余が茵は天然に池のなかに、ながれ込んで、足を(ひた)せば生温(なまぬる)い水につくかも知れぬと云う間際(まぎわ)で、とまる。水を(のぞ)いて見る。
 眼の届く所はさまで深そうにもない。底には細長い水草(みずぐさ)が、往生(おうじょう)して沈んでいる。余は往生と云うよりほかに形容すべき言葉を知らぬ。岡の(すすき)なら(なび)く事を知っている。()の草ならば(さそ)う波の(なさ)けを待つ。百年待っても動きそうもない、水の底に沈められたこの水草は、動くべきすべての姿勢を調(ととの)えて、朝な夕なに、(なぶ)らるる期を、待ち暮らし、待ち明かし、幾代(いくよ)(おもい)(くき)の先に()めながら、今に至るまでついに動き得ずに、また死に切れずに、生きているらしい。
 余は立ち上がって、草の中から、手頃の石を二つ拾って来る。功徳(くどく)になると思ったから、眼の先へ、一つ(ほう)り込んでやる。ぶくぶくと(あわ)が二つ浮いて、すぐ消えた。すぐ消えた、すぐ消えたと、余は心のうちで繰り返す。すかして見ると、三茎(みくき)ほどの長い髪が、(ものうげ)に揺れかかっている。見つかってはと云わぬばかりに、濁った水が底の方から隠しに来る。南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
 今度は思い切って、懸命に真中(まんなか)へなげる。ぽかんと(かす)かに音がした。静かなるものは決して取り合わない。もう()げる気も無くなった。絵の具箱と帽子を置いたまま右手へ廻る。

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