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虞美人草 三 (6)

时间: 2021-03-22    进入日语论坛
核心提示:「そら聴(き)きたくなった」「何聴かなくってもいいさ。そんな事を聞くよりこの筍(たけのこ)を研究している方がよっぽど面白い。
(单词翻译:双击或拖选)
 「そら()きたくなった」
「何聴かなくってもいいさ。そんな事を聞くよりこの(たけのこ)を研究している方がよっぽど面白い。この筍を寝ていて横に見ると、(せい)が低く見えるがどう云うものだろう」
「おおかた君の眼が横に着いているせいだろう」
「二枚の唐紙(からかみ)に三本()いたのは、どう云う因縁(いんねん)だろう」
「あんまり下手だから一本負けたつもりだろう」
「筍の真青(まっさお)なのはなぜだろう」
「食うと中毒(あた)ると云う(なぞ)なんだろう」
「やっぱり謎か。君だって謎を()くじゃないか」
「ハハハハ。時々は釈いて見るね。時に僕がさっきから島田の謎を解いてやろうと云うのに、いっこう釈かせないのは哲学者にも似合わん不熱心な事だと思うがね」
「釈きたければ釈くさ。そうもったいぶったって、頭を下げるような哲学者じゃない」
「それじゃ、ひとまず安っぽく釈いてしまって、(あと)から頭を下げさせる事にしよう。――あのね、あの琴の主はね」
「うん」
「僕が見たんだよ」
「そりゃ今聴いた」
「そうか。それじゃ別に話す事もない」
「なければ、いいさ」
「いや好くない。それじゃ話す。昨日(きのう)ね、僕が湯から上がって、椽側(えんがわ)で肌を抜いで涼んでいると――聴きたいだろう――僕が何気なく鴨東(おうとう)景色(けしき)を見廻わして、ああ好い心持ちだとふと眼を落して隣家を見下すと、あの娘が障子(しょうじ)を半分開けて、開けた障子に()たれかかって庭を見ていたのさ」
別嬪(べっぴん)かね」
「ああ別嬪だよ。藤尾さんよりわるいが糸公(いとこう)より好いようだ」
「そうかい」
「それっきりじゃ、(あん)まり他愛(たあい)が無さ過ぎる。そりゃ残念な事をした、僕も見ればよかったぐらい義理にも云うがいい」
「そりゃ残念な事をした、僕も見ればよかった」
「ハハハハだから見せてやるから椽側(えんがわ)まで出て来いと云うのに」
「だって障子は締ってるんじゃないか」

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