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虞美人草 三 (5)

时间: 2021-03-22    进入日语论坛
核心提示:「寝ながら拝聴する法はないよ。ちょっと椽(えん)まで出張を命ずるから出て来なさい」「なに、ここで結構だ。構ってくれるな」と
(单词翻译:双击或拖选)
「寝ながら拝聴する法はないよ。ちょっと(えん)まで出張を命ずるから出て来なさい」
「なに、ここで結構だ。構ってくれるな」と甲野さんは空気枕を傾けたまま起き上がる景色(けしき)がない。
「おい、どうも東山が奇麗(きれい)に見えるぜ」
「そうか」
「おや、鴨川(かもがわ)(わた)(やつ)がある。実に詩的だな。おい、川を渉る奴があるよ」
「渉ってもいいよ」
「君、布団(ふとん)着て寝たる姿やとか何とか云うが、どこに布団を着ている訳かな。ちょっとここまで来て教えてくれんかな」
「いやだよ」
「君、そうこうしているうちに加茂の水嵩(みずかさ)が増して来たぜ。いやあ大変だ。橋が落ちそうだ。おい橋が落ちるよ」
「落ちても()(つか)えなしだ」
「落ちても差し支えなしだ? 晩に都踊が見られなくっても差し支えなしかな」
「なし、なし」と甲野さんは面倒臭くなったと見えて、寝返りを打って、例の金襖(きんぶすま)(たけのこ)を横に(なが)め始めた。
「そう落ちついていちゃ仕方がない。こっちで降参するよりほかに名案もなくなった」と宗近さんは、とうとう()を折って部屋の中へ這入(はい)って来る。
「おい、おい」
「何だ、うるさい男だね」
「あの琴を聴いたろう」
「聴いたと云ったじゃないか」
「ありゃ、君、女だぜ」
「当り前さ」
幾何(いくつ)だと思う」
幾歳(いくつ)だかね」
「そう冷淡じゃ張り合がない。教えてくれなら、教えてくれと判然(はっきり)云うがいい」
「誰が云うものか」
「云わない? 云わなければこっちで云うばかりだ。ありゃ、島田(しまだ)だよ」
「座敷でも()いてるのかい」
「なに座敷はぴたりと締ってる」
「それじゃまた例の通り好加減(いいかげん)な雅号なんだろう」
「雅号にして本名なるものだね。僕はあの女を見たんだよ」
「どうして」

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