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虞美人草 七 (3)

时间: 2021-04-10    进入日语论坛
核心提示:「ハハハハ生れて死ぬのが用事か。蔦屋(つたや)の隣家(となり)に住んでる親子なんか、まあそんな連中だね。随分ひっそり暮してる
(单词翻译:双击或拖选)
「ハハハハ生れて死ぬのが用事か。蔦屋(つたや)隣家(となり)に住んでる親子なんか、まあそんな連中だね。随分ひっそり暮してるぜ。かたりともしない。あれで東京へ行くと云うから不思議だ」
「博覧会でも見に行くんだろう」
「いえ、(うち)を畳んで引っ越すんだそうだ」
「へええ。いつ」
「いつか知らない。そこまでは下女に聞いて見なかった」
「あの娘もいずれ嫁に行く事だろうな」と甲野さんは(ひと)(ごと)のように云う。
「ハハハハ行くだろう」と宗近君は頭陀袋(ずだぶくろ)(たな)へ上げた腰を(おろ)しながら笑う。相手は半分顔を(そむ)けて硝子越(ガラスごし)に窓の外を(すか)して見る。外はただ暗いばかりである。汽車は遠慮もなく暗いなかを突切って行く。(ごう)と云う音のみする。人間は無能力である。
「随分早いね。何(マイル)くらいの速力か知らん」と宗近君が席の上へ胡坐(あぐら)をかきながら云う。
「どのくらい早いか外が真暗でちっとも分らん」
「外が暗くったって、早いじゃないか」
「比較するものが見えないから分らないよ」
「見えなくったって、早いさ」
「君には分るのか」
「うん、ちゃんと分る」と宗近君は威張って胡坐をかき直す。話しはまた途切れる。汽車は速度を増して行く。(むこう)(たな)に載せた誰やらの帽子が、傾いたまま、山高の(いただき)(ふる)わせている。給仕(ボーイ)が時々室内を抜ける。大抵の乗客は向い合せに顔と顔を見守っている。
「どうしても早いよ。おい」と宗近君はまた話しかける。甲野さんは半分眼を(ねむ)っていた。
「ええ?」
「どうしてもね、――早いよ」
「そうか」
「うん。そうら――早いだろう」
 汽車は(ごう)と走る。甲野さんはにやりと笑ったのみである。
「急行列車は心持ちがいい。これでなくっちゃ乗ったような気がしない」
「また夢窓国師より上等じゃないか」
「ハハハハ第一義に活動しているね」
「京都の電車とは大違だろう」
「京都の電車か? あいつは降参だ。全然第十義以下だ。あれで運転しているから不思議だ」
「乗る人があるからさ」

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