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虞美人草 十五 (8)

时间: 2021-05-05    进入日语论坛
核心提示:「宗近の方は大丈夫なんでしょうね」「大丈夫でなくったって、仕方がないじゃないか」「でも断って下すったんでしょう」「断った
(单词翻译:双击或拖选)
「宗近の方は大丈夫なんでしょうね」
「大丈夫でなくったって、仕方がないじゃないか」
「でも断って下すったんでしょう」
「断ったんだとも。この間行った時に、宗近の阿爺(おとっさん)に逢って、よく理由(わけ)は話して来たのさ。――帰ってから御前にも話した通り」
「それは覚えていますけれども、何だか判然(はっきり)しないようだったから」
「判然しないのは向の事さ。阿爺があの通り気の長い人だもんだから」
「こっちでも判然とは断わらなかったんでしょう」
「そりゃ今までの義理があるから、そう子供の使のように、藤尾が(いや)だと申しますから、(ひら)に御断わり申しますとは云えないからね」
「なに厭なものは、どうしたって好くなりっこ無いんだから、いっそ平ったく云った方が好いんですよ」
「だって、世間はそうしたもんじゃあるまい。御前はまだ年が若いから露骨(むきだし)でも構わないと御思(おおもい)かも知れないが、世の中はそうは行かないよ。同じ断わるにしても、そこにはね。やっぱり(ふた)()もあるように云わないと――ただ怒らしてしまったって仕方がないから」
「何とか云って断ったのね」
「欽吾がどうあっても嫁を(もら)うと云ってくれません。私も取る年で心細うございますから」と一と息に(くだ)して来る。ちょっと御茶を呑む。
「年を取って心細いから」
「心細いから、欽吾(あれ)があのまま押し通す料簡(りょうけん)なら、藤尾に養子でもして掛かるよりほかに致し方がございません。すると(はじめ)さんは大事な宗近家の御相続人だから私共へいらしっていただく訳にも行かず、また藤尾を差し上げる訳にも参らなくなりますから……」
「それじゃ兄さんがもしや御嫁を貰うと云い出したら困るでしょう」
「なに大丈夫だよ」と母は浅黒い額へ癇癪(かんしゃく)の八の字を寄せた。八の字はすぐとれる。やがて云う。
「貰うなら、貰うで、糸子(いとこ)でも何でも勝手な人を貰うがいいやね。こっちはこっちで早く小野さんを入れてしまうから」
「でも宗近の方は」
「いいよ。そう心配しないでも」と地烈太(じれった)そうに云い切った後で
「外交官の試験に及第しないうちは嫁どころじゃないやね」と付けた。
「もし及第したら、すぐ何か云うでしょう」

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