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虞美人草 十六 (12)

时间: 2021-05-05    进入日语论坛
核心提示:「いつって、ちゃんと及第しちまったんだよ」「あら、本当なの、驚ろいた」「兄が及第して驚ろく奴があるもんか。失礼千万な」「
(单词翻译:双击或拖选)
「いつって、ちゃんと及第しちまったんだよ」
「あら、本当なの、驚ろいた」
「兄が及第して驚ろく奴があるもんか。失礼千万な」
「だって、そんなら早くそうおっしゃれば好いのに。これでもだいぶ心配して上げたんだわ」
「全く御前の御蔭(おかげ)だよ。大いに感泣(かんきゅう)しているさ。感泣はしているようなものの忘れちまったんだから仕方がない」
 兄妹は(へだて)なき眼と眼を見合せた。そうして同時に笑った。
 笑い切った時、兄が云う。
「そこで兄さんもこの通り頭を刈って、近々(きんきん)洋行するはずになったんだが、阿父(おとっ)さんの云うには、立つ前に嫁を(もら)って人格を作ってけって責めるから、兄さんが、どうせ貰うなら藤尾さんを貰いましょう。外交官の妻君にはああ云うハイカラでないと将来困るからと云ったのさ」
「それほど御気に入ったら藤尾さんになさい。――女を見るのはやっぱり女の方が上手ね」
「そりゃ才媛糸公の意見に間違はなかろうから、充分兄さんも参考にはするつもりだが、とにかく判然談判をきめて来なくっちゃいけない。向うだって(いや)なら厭と云うだろう。外交官の試験に及第したからって、急に気が変って参りましょうなんて軽薄な事は云うまい」
 糸子は(かす)かな笑を、二三段に切って鼻から(もら)した。
「云うかね」
「どうですか。聞いて御覧なさらなくっちゃ――しかし聞くなら欽吾さんに御聞きなさいよ。恥を()くといけないから」
「ハハハハ厭なら(ことわ)るのが天下の定法(じょうほう)だ。断わられたって恥じゃない……」
「だって」
「……ないが甲野に聞くよ。聞く事は甲野に聞くが――そこに問題がある」
「どんな」
「先決問題がある。――先決問題だよ、糸公」
「だから、どんなって、聞いてるじゃありませんか」
「ほかでもないが、甲野が坊主になるって騒ぎなんだよ」
「馬鹿をおっしゃい。縁喜(えんぎ)でもない」
「なに、今の世に坊主になるくらいな決心があるなら、縁喜はともかく、(おおい)に慶すべき現象だ」

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