茶事において、茶の前に出す簡単な食事。こんにちでは日本料理店などで出す懐石風のコース料理をいうこともある。茶の湯の懐石は、飯・汁・向こう付け・椀盛り・焼き物の一汁三菜に、箸洗い・八寸・湯桶・香の物が基本的な構成で、焼き物のあとに預け鉢や強い肴(ざかな)を出すこともある。◇「茶懐石」「懐石料理」ともいう。修行中の禅僧は昼以降食事をとることが許されなかったため、温石(おんじゃく)(焼いた石を布などで包んだもの)を懐に入れて寒さと空腹をしのいだ。「懐石」はこの温石で腹をあたためるのと同じ程度に空腹をしのぐほどの軽い食事という意とされる。
懐石