暖房器具。灰を入れ炭火をもやして暖をとる容器。木製,金属製,陶製などがある。木製の場合,指物(さしもの),刳物(くりもの)があるが,内側には銅などの落しをつける。落しは,容器の裏に直接張るものと,釣るようにして容器との間にすき間をつくる二重構造のものとがある。指物の火鉢には御殿火鉢,格子形火鉢,箱火鉢などがあり,刳物の火鉢には桐火鉢や欅火鉢などがある。また木製火鉢の一種に長火鉢といって長方形の箱形につくり,上の縁の幅を広くし,下部に抽斗(ひきだし)などをつけ,灰入れの一方に銅壺を備えつけて湯をわかしたり燗(かん)をしたりできるようにしつらえ,簡単な調理や食事ができるように工夫されたものがある。
火鉢