「愛しい妻よ、国造りはまだ終わっていません。だから戻って来ておくれ」
イザナミは答えます。
「それは残念。早く来てくれなかったので、黄泉の国の食べ物を食べてしまったわ。
でもせっかく来てくれたんだもの。なんとか帰りたいわ。黄泉の国の神にお願いして来るので待っててくださいね。その間、私を見てはいけませんよ」
こう言ってイザナミは御殿の奥に籠ってしまいました。
イザナギはずっと待ちましたが、あまりに待ちくたびれたので、灯りを点けてそっと覗いてみると…
イザナミの身体には蛆(うじ)が湧き、頭から胸から手から足から雷がゴロゴロと鳴り響く異様な姿になっていたのです。
イザナギは怖くなり、逃げ帰ろうとしましたが、イザナミに見つかってしまいました。
「私に恥をかかせたわね!!」
イザナミはそう叫ぶと、鬼女に命じて彼のあとを追い掛けさせたのです。