例えば、以心伝心とか、言葉にしないで察し合う習慣は、日本社会のような同質性の高い同一民族社会では可能かもしれないが、私の国アメリカのように文化が異なり、言語が異なる多民族が暮らす社会ではほとんど不可能だと思う。きちんと意思表示しなければ、コミュニケーションが成立しないのである。今の日本も国際化が進んでおり、多くの外国人が住み、異文化間の交流が日常化している。そんな国際化時代には、はっきりとした意思表示や自己主張ができなければ、他人からも認めてもらえなくなるのではないか。
(B)日本人は婉曲な言い方を好み、結論を相手の判断に委ねるといった話し方をする。確かに私たち外国人にとって理解しにくいが、それはお互いの文化に対する理解不足が原因であり、日本人だけに問題があるのではない。
例えば、日本人は「いいえ」と意思表示して相手の意見や誘いを拒否・拒絶するよりも、相手の気持ちを傷つけないように、表情や態度から察してもらおうとする。ここには昔から個人よりも共同体の調和を優先する文化があり、「察しの文化」と言われている。欧米型の個人主義社会のように、個人の意思や自己主張を重視する文化だけが文化ではないのである。私はお互いの文化や価値観を尊重しあってこそ異文化間のコミュニケーションは成り立つし、それが国際化時代のあるべき姿だと考える。したがって、私たち外国人がもっと日本の文化を理解しようと努力することが必要なのだと考える。
1、AとBは、何について論じているのか。
①日本人がはっきり意思表示しない点
②日本人が「以心伝心」を重視する点
③日本人が相手の気持ちを尊重する点
④日本人が共同体の調和を優先する点
2、AとBの考え方を正しく述べているのはどれか。
①事実認識も、それに対する意見も異なっている。
②事実認識も、それに対する意見も共通している。
③事実認識は共通だが、それに対する意見は共通している。
④事実認識は異なっているが、それに対する意見は共通している。
3、BはAの意見に対して、どのように考えているか。
①あまりに個人主義であり、協調性が欠けている。
②異文化を理解しようという姿勢が欠けている。
③もっとお互いの長所を認め合ったほうがいい。
④正当な主張だが、日本人に要求しても無理である。