昔、小さな子供がいて、母親は毎日午後に小鉢にパン入りミルクをあげていました。子供はその小鉢をもって中庭にいき座りました。ところが食べ始めると、一匹の蛇が壁の割れ目から這い出て、皿に小さな頭を突っ込み、子供と一緒に食べました。子供はこれを喜んで、そこに小皿を置いて座って蛇がすぐにやって来ないと、叫びました。
「蛇さん、蛇さん、早くおいで
こっちへおいで、おチビちゃん
パンをあげるよ
ミルクを飲んで元気になあれ!」
すると蛇が大急ぎでやってきて、おいしそうに食べました。さらに、蛇はお礼の気持ちを示しました。というのは、子供に隠された宝物から、光る石、真珠、金のおもちゃなど、きれいなものをいろいろもってきたからです。ところが蛇はミルクだけ飲んで、パンは残しました。それである日、子供は小さなスプーンをとって、それで蛇の頭をやさしくたたきながら、「パンも食べるんだよ、おチビちゃん。」と言いました。台所にいた母親に、子供が誰かと話しているのが聞こえ、子供がスプーンで蛇をたたいているのを見ると、まきをもって駆けていき、仲よしのおチビちゃんを殺してしまいました。
その時から、子供が変になり始めました。蛇が一緒に食べていた間は、子供は大きく丈夫に育っていましたが、今はかわいいバラ色のほおがなくなり、やせおとろえていきました。まもなく弔いの鳥が夜に鳴きだし、こまどりが葬式の花輪用の小さな枝や葉を集めだしました。それからまもなく、子供はひつぎ台の上に横たわりました。
第二話
みなし子の子供が町の塀に座って糸を紡いでいました。そのとき、蛇が塀の下の方の穴から出てくるのが見えました。子供はこの蛇のそばに青い絹のハンカチをサッと広げました。蛇というのはそういう布をとても好み、その上にしか這ってこないのです。蛇はそれを見ると引き返し、また戻ってきて、小さな金の冠を持ってくるとハンカチの上に置き、また帰っていきました。女の子がその冠をとってみると、それはキラキラ光り、金の細いより糸でできたものでした。まもなく蛇は2回目に戻ってきました。しかし、もう冠がないのを見ると、塀を這い上って、悲しくてもう力がなくなるまで小さな頭を塀に打ちつけ、とうとうそこで死んでしまいました。もし女の子が冠をあったところに置いておきさえすれば、きっと蛇は穴からもっと宝をもってきたでしょう。
第三話
蛇が「フーフー」と鳴きます。子供が「出ておいで」と言います。蛇は出てきます。すると子供は妹のことを尋ねます。「赤靴下ちゃんを見なかった?」蛇は「いいえ」と言います。「私も見なかったわ。」「じゃあ、僕は君と同じだね。フーフー。」